ストーンエイジCOP 顔を盗まれた少年 著:藤崎慎吾
ストーンエイジCOP 顔を盗まれた少年
藤崎慎吾:著
光文社 ISBN:4-334-07479-0
2002年8月発行 定価890円(税込)
近未来の日本を舞台にしたSFアクションサスペンス。警察業務の一部を民間に委託させた、コンビニの警備員兼警察官、通称コンビニCOPが、ストリートチルドレンと共に、この時代の社会を牛耳るハイテク企業の陰謀に迫る。
大手コンビニチェーン“4U”の警備員兼警察官…通称コンビニCOPの滝田治が勤務するコンビニがストリートチルドレンに襲撃された。その時に、捕まえた一人の少年が漏らした奇妙な話が事件の発端だった…。家に帰ったら、自分の偽者がいて、母親が本物の少年を追い出したのだという。事件性を感じた滝田は独自に調査を開始するのだが…思わぬところから圧力が!
近未来の警察が民営化って設定あたりは、映画の「ロボコップ」をちょっと思い出すね。しかも、コンビニ業務と警察を組み合わせちゃうってあたりの発想は、今風でなかなか面白い。それだけじゃなくて、この時代はテクノロジーの発達により、整形手術や臓器移植まで、コンビニで手軽に出来ちゃうのだ。ただ、一般市民の知らないところで…なにやら非合法、きな臭い陰謀が進行している。
ハードSFを得意とする作家さんなので、特有の小難しい専門的な描写なども出てくるのだが、ほとんどはエンターテイメントなノリで、普通にアクション小説とサスペンス小説として読めちゃうあたりがミソかもしれませんね。ハイテク企業がなにやら怪しげなことしてるってあたりの真相は…なかなか不気味。現代劇でいうと、有名企業が内緒で軍事産業に手を染めて、細菌兵器を作ってましたみたいなパターンかな?
ネットワークなどの技術・管理面でもかなり進んだ未来社会なんだけれども、日本的な古風な赴きも色濃く残ってる印象を受けるあたりは、TVアニメ版の「攻殻機動隊」シリーズなんかにも雰囲気が似ているかなと。アノ手の作品が好きな人なら単純に楽しめるのでは?
それと…密かに人間のすり替え工作が行われているなんてお話は、特撮ものとか見ると、宇宙人や怪人がよく使う手段だしね(笑)SFなのに、ちょっとホラーっぽさも出ていたかな?
主人公が昔の記憶を欠如しており、その謎がまだ解明されていないなど、気になる箇所も多々有り。既に続編も出版されており、自分も105円で入手してあるので、また近いうちに読んでみようと思っているところ。けっこう面白かった。
個人的採点:65点