コールドゲーム 著:荻原浩
コールドゲーム
荻原浩:著
新潮社 ISBN:4-10-123031-5
2005年11月発行 定価700円(税込)
作品が映画化されたり、直木賞の候補にノミネートされたり、最近、名前を頻繁に見かける荻原浩を初めて読んでみる。中学時代のイジメが原因で、復讐鬼と化した同級生から命を狙われる羽目になる高校生たちを描いた、サイコサスペンス。2002年に出たハードカバーを文庫化したもの。
今まで野球部一筋だった高3の渡辺光也…甲子園への夢はあっ気なく砕け散り、部活動は引退。進学するか、就職するか進路を決めかねている夏休みのある日、高校を中退した幼馴染の亮太がもたらした驚愕の事実。中学2年の時のクラスメイトたちが次々と何者かに襲われているという。犯人の心当たりは、みんながイジメのターゲットにしていたトロ吉こと廣吉ではないかと。久しぶりに何人かの同級生たちと連絡を取り合い、その日から廣吉を捕まえるためのパトロールを始めたのだが…被害は拡大。そして遂に、大きな事件が起きる!?
イジメ問題ですね…イジメた奴はそんなこと憶えてないけど、イジメられた奴はいつまでも根に持っている。この手の物語を読むと、見るからに、いじめっ子でしたというヤツよりは、俺は関係ないよねって思ってるヤツ、いい子ぶりっ子してヤツの方が、もしかしたら???って、恐怖に脅えちゃうんじゃないですかね…。
原作漫画は読んでないんだけど、映画で見た「隣人13号」の…逆視点のような物語でしたね。
ラストでおとずれる真相も、もう少しミステリ的などんでん返しを期待してしまったが…驚きはしたが、ああ、やっぱこのパターンかと、想像していた結末のひとつではあったかな。あと、復讐に脅える高校生たちに緊迫感を持たせていたら、読んでいうるこちらもスリルを感じるのだろうが、コミカルな描写も多いので、やや盛り上がりにかけたかな?この辺は好みの問題だと思うけど…。コミカルな描写もあるからこそ、約470ページの長丁場をうまく乗り切ったという印象もあるかな?
初めての作家だったけど、文章は読みやすく、それでいて読み応えも充分。エンターテイメントとして適度な作品だった。機会があれば、これからもこの作家の作品を読んでみようと思う。
個人的採点:65点