リアルヘヴンへようこそ 著:牧野修
リアルヘヴンへようこそ
牧野修:著
角川書店 ISBN:4-04-352207-X
2005年3月発行 定価740円(税込)
今回も角川ホラー文庫をチョイス…牧野修の「リアルヘヴンへようこそ」だ。1999年に他社から出た文庫を角川ホラーで再版したものなので、作品自体はもう7年以上前のものなんだけど、作品のキーとなるネット描写など、あまり詳細に語ってないので…今読んでも違和感は少ない。
恵比寿台ニュータウンという小さな街の郊外に立てられた集合マンション…そこに、父親と2人で住んでいる都筑瞬は学校でイジメにあっている中学生。そんな彼の趣味は、街に巣食う浮浪者たちと交流を図りながら観察し、その様子をインターネットのHPで発表することだった。 ある日、浮浪者たちの奇妙な行動・言動に気づいた瞬は、いつものように調査を開始したのだが…それが街全体に忍び寄る悪夢のような出来事の前触れだとは思ってもいなかった。さらに、一緒に住んでいる父親にも変化が…。
いじめられっこと浮浪者が交流を交わしながら、この世の絶望的な危機を救う戦いに挑んでいくというのも面白いね。あと、社会を憎む憎悪の塊が破壊衝動に繋がり、それが実際の出来事のようになっていくんだけど、その方法や描写が、いかにも牧野ホラーな感じでグロテスク。読んでいるだけで、死臭が漂ってきそうだよ。で、クライマックスは…ハルマゲドン系のグチャグチャドロドロ、アクション、てんこもり(笑)
怖いって感じでは、この間読んだ「スイート・リトル・ベイビー」の方が上だけど、いつも自分がイメージしている、エンターテイメント系の、いかにも牧野ホラーを楽しむなら、こちらの作品かなと思う。
個人的採点:65点