愚者のエンドロール 著:米澤穂信
愚者のエンドロール
米澤穂信:著
角川書店 ISBN:4-04-427102-X
2002年8月発行 定価560円(税込)
ライノベ系作家だと思っていたら、すっかり“このミス”上位の常連になったりしている米澤穂信の「愚者のエンドロール」を読んだ。アレ、表紙の写真が全然違うぞ…。自分が持っているのは角川スニーカー文庫版で、可愛らしい女の子のイラストなんですけどね…今現在、一般書店で流通しているのは、スニーカー文庫仕様ではなく通常の角川文庫仕様なんですね?一般書籍の表紙がライノベ風な物が多くなってきているのに、逆のパターンっていうのも面白い現象だなって、ちょっと思った。
神山高校、古典部のメンバーに奇妙な依頼が。文化祭に出展する、ビデオ映画の感想を聞かせて欲しいと、2年F組の入須冬実から頼まれて試写会に参加した折木奉太郎をはじめとする古典部の面々。内容はミステリー映画だったのだが、タイトルも決まっていない未完成な作品だった。実は脚本を担当していた生徒が心労で倒れてしまい、他のスタッフも結末が分からず終いだったのだ。冬実の狙いは奉太郎たちの力を借りて、撮影された映像から、脚本家がどんな結末を描いていたかを導きだすことだった。
「氷菓」という作品の続編で、引き続き古典部のメンバーが学校内で起きた事件を調査するというシリーズもの。れっきとした推理小説ではあるんだけれども、スニーカー文庫を意識したのか、作者の作風なのか、いまどきのミステリーに珍しく人が死なない物語であり、今回も同様のパターン。学園ミステリとして、キャラたちはしていたものの、物語にイマイチ面白みを感じられなかった前作に比べ、俄然、ミステリー濃度が向上した今回の方が自分の好みではありましたね。未完のミステリー作品を推理していくという…探せば似たようなストーリーがどっかにありそうだが、実際には人は死なない、作中作の事件を解決するという方法で…学園ミステリにありがちな、うそ臭さを回避するアイデアはうまいと思った。ちなみに、自分が持っているのは左記のバージョンです。
個人的採点:65点