予告探偵 西郷家の謎 著:太田忠司 | 105円読書

予告探偵 西郷家の謎 著:太田忠司

予告探偵 西郷家の謎

太田忠司:著
中央公論新社 ISBN:4-12-500924-4
2005年12月発行 定価945円(税込)









太田忠司の「予告探偵 西郷家の謎」読了…。長年、愛読している作家だけにやはり読みやすくて、安心して楽しめる。

戦禍の傷痕を残した一九五〇年の十二月…旧家・西郷家の当主宛に届いた1通の古風な手紙。中の便箋には“すべての事件の謎は我が解く”と書かれていた。文筆家の木塚東吾は、自称名探偵の友人に無理矢理連れられ、西郷家の人々が住む通称、ユーカリ荘と呼ばれる人里離れた屋敷を訪れるのだが、そこで殺人事件に巻き込まれてしまう。

犯人や怪人が予告状を出すというのはよくあるパターンだが、探偵が“これから謎を解きに参上する”と、わざわざ予告状を出すというのが斬新。全てお見通しだと…やたらとふてぶてしく、態度のでかい、自称名探偵に…同じ著者の「新宿少年探偵団」シリーズに出てくる蘇芳の面影を垣間見る(笑)作中でワトソン役をおおせつかる、文筆家の木塚との丁々発止のやり取りが、なかなか愉快。

途中で細かな描写に妙な違和感を感じるんだけど…テンポがいいので、すいすいと読み進めてしまう。事件の真相が分かるところで、そんなのアリかよ?って思わずツッコミを入れてしまうのだが、さらにその後、本当のどんでん返しが!?昨日読んだ「ラミア虐殺」並にキワモノ系なんだけど(本筋は意外と古風なミステリというところも似てる)、やられた感は数段、上です。とにかくあっと驚くラストに拍手。綾辻行人の某短編シリーズのように、登場人物が●●だったみたいに、ビックリ仰天します(爆)コレを見破れた人は凄いと思います。まぁ。、映像化は不可能でしょうね。

やっぱり隠し玉はとことん、読者に分からないように…それでいてフェアにというのが、良いミステリでしょうね。けっこう面白かったです。






個人的採点:65点