まほろ駅前多田便利軒 著:三浦しをん
まほろ駅前多田便利軒
三浦しをん:著
文芸春秋 ISBN:4-16-324670-3
2006年3月発行 定価1,680円(税込)
ここ1、2週間ほど読書から遠ざかっていました…途中まで、今月はコンスタンスに積読本を消化していたんですけどね、結局、いつもと同じくらいの分量になってしまった。年末くらい、数を減らしておきたかったのに(笑)
で、今年最後の1冊が、2006年の直木賞受賞作、三浦しをんの「まほろ駅前多田便利軒」です。いや~、けっこう人気のある、話題の本だったのに、年内に105円で見つけられるとは思っていませんでした。これがね、帯つきの初版本だったら、ヤフオクとかで売れるらしいんだけど、残念ながら増刷版でした(笑)
東京のはずれにある、まほろ市の駅前で便利屋を営む多田は仕事の帰りに、高校時代の同級生、行天と再会…行くあてもなく転がり込んできた行天はそのまま多田の便利屋に居座りながら、多田と共に様々な依頼、トラブルに遭遇する。
連作短編的な読み物ですよね…なんか、昔TVドラマでやっていた「勝手にしやがれヘイ!ブラザー」を思い出しました。設定とかは全然違うけど、何でも屋が事件を解決していくというのが雰囲気似ている。時には警察沙汰にもなるような色々な依頼が毎回舞い込んでくるんだけど、作品が進むにつれて二人の秘密も次第に明らかになってくるって感じ。
普段、ガチガチの本格ものや、ハードボイルドが大好きなだけに、この作品にミステリー要素を期待してしまうと…いくら直木賞受賞作だからといっても、出てくる事件自体にあっと驚く展開はない感じですね。ただ、主人公2人の奇妙な関係、それを取り巻く人間関係などの面白さだったり、いかにも文学的な表現はそれなりに楽しい。自分は三浦しをん2冊目なんだけど、前に読んだ「ロマンス小説の七日間」よりは面白かったです。
東京にこんな街がないので架空の街の設定だなっていうのは直ぐに分かるんだけど、どことなく町田を意識してるよね。自分も、町田にある専門学校に通っていた時期があるので、ピーンときた(東京なのに横浜のバス会社って設定が、神奈中バスが走ってる町田のことだと思ったので)。で、気になって、この文章を書く前に検索をしてみたら、東京近辺の人は同じ事を考えていたようで、やっぱり当たりみたい。なんか、原作者が町田に住んでるらしいね。
直木賞作品と身構えることなく、文学的な表現が心地よいライトノベルって感じかな(笑)生意気言ってごめんなさいだけど、個人的には可も不可もなくまぁまぁです。
個人的採点:65点