赤×ピンク 著:桜庭一樹 | 105円読書

赤×ピンク 著:桜庭一樹

赤×ピンク

桜庭一樹:著
エンターブレイン ISBN:4-7577-1283-9
2003年2月発行 定価672円(税込)









アンダーグラウンドなファイトクラブで働く3人の少女の自分探しの物語。それぞれのキャラクター視点で章立てになっているのだけど、少しずつ時間軸が重複しながら…その先の物語を見せていくという構成になっている。ファミ通文庫と、レーベルはライトノベルだが、格闘知識などけっこう著者のオタクぶりが発揮されており、そういうファンが読んでも楽しめるのでは?知らなかったんだけど桜庭一樹って女性作家だったんだね(笑)桜庭って名前から、勝手に格闘家のようなゴツイ男を想像してました。

都心の廃校になった校舎を利用し、毎夜、女性同士の格闘戦、いわゆるキャットファイトを見せる非合法ファイトクラブ“ガールズブラッド”。そこで働く、三人の少女…本当は21歳なのにあどけなさを売りにする“まゆ14歳”、昼間はSMクラブでなんちゃって女王様として働く“ミーコ”、同性の女の子を極端に嫌う、空手少女の“皐月”。彼女たちにはそれぞれ悩み事があった…。

それぞれ性格は異なるけど、非常に重たいトラウマを抱えた少女たち。外見とは裏腹に、孤独を紛らわすため、居心地の悪さを感じたりしても…格闘を続けている。で、色々なパターンでキューピッドたちと出会い、ターニングポイントが訪れ、求めていた生き方を見つけるって感じのお話です。

いちばん、一般人に近いのが“まゆ14歳”で…無気力感、孤独感など、男の自分などでも共感できる部分が強い。物語的にはあっ気なさを感じるのだが、一番、現実的な選択をしているあたりも、妙に納得してしまう。

ちなみに表紙カバーは、「最終兵器彼女」でお馴染みの高橋しん。どこか儚げな少女を描かせると上手だなぁ…。






個人的採点:65点