爆弾魔 著:大石直紀
爆弾魔
大石直紀:著
光文社 ISBN:4-334-74008-1
2006年1月発行 定価600円(税込)
ディスカウントショップの爆破を皮切りに、広がる連続爆破事件を、かつて同じような事件のせいで家族を引き裂かれた、元刑事と、その娘の公安刑事が再会を果たし、家族の絆を取り戻しながら犯人を追いかけるというお話。2001年に新書で出たものを文庫化。
関東一円にチェーン展開する大手ディスカウントショップ「グラン・カーサ」が相次いで爆破された。犯人は、「グラン・カーサ」の社長に恨みを持つ者ではないかと思われていた矢先に、今度は別のショッピングセンターが標的に。ショッピングセンターの警備員として働く藤村は、実は元公安刑事であり…25年前に似たような爆破事件と遭遇していたのだ。藤村は、かつて捕まえた爆弾魔・榊原が犯人だと確信するのだった…。榊原が藤村に復讐するのではないかと考える捜査陣は、藤村の娘で、刑事の早苗を護衛役として派遣するのだが、実は25年前の時間がきっかけで、長い間、2人には確執があった。
きっとモデルはドンキホーテだろうなぁって感じの大手ディスカウントショップが爆破されるんだ。ちょっと前に起きたドンキの連続放火事件をちょっと思い出すよね。
ただ、爆弾魔との追いかけっこなのかなと思っていたが、推理小説という肩書きがついているだけあって…、事件そのものや、真犯人の正体など二転三転するプロットはお見事。テンポもよく、かなり引き込まれる。加えて、過去の事件と進行中の事件の関わり。帯にも“家族の絆”というテーマが明確に示されているが、捜査する側の2人以外にも、意外なところで関わってくるのね。事件の真相なんかも、あっと驚く展開で、最後まで一気読みさせられてしまったよ。
この作者の作品ははじめてだけど、なかなか面白かったです。
個人的採点:70点