火の神の熱い夏 著:柄刀一 | 105円読書

火の神の熱い夏 著:柄刀一

火の神の熱い夏

柄刀一:著
光文社 ISBN:4-334-73757-9
2004年9月発行 定価500円(税込)









柄刀一の「火の神の熱い夏」を読み終わる。“火の神”と書いてアグニと読ます…古代インド神話に出てくる神の名前のひとつなんだとか。

化石燃料関連事業や電力会社など手広く経営する実業家の加瀬恭治郎が、広大な敷地に立つ別荘の一室で焼死体で発見された。しかもナイフで刺された後に、部屋に火をつけられたらしい。二人の息子や会社関係者と、亡き妻の法要を済ませた後、休暇を楽しんでいる最中だった。実は妻も6年前に、何者かに刺殺されており、その事件は未解決だったのだ。二つの事件に関連はあるのか?恭治郎の依頼で写真撮影に訪れていた、写真家の美青年・南美希風が事件を推理する!

物語の視点は被害者の次男(浪人生)によって展開される。探偵役となる美青年が、颯爽と登場したわりには、意外と地味な感じがしないでもないが…アリバイ崩し、殺害のトリックなどを理詰めで看破していく。閉鎖的な空間で起きた事件。登場人物も少ないし、トリックに利用するアイテムもフェアに提示され、けっこう解かりやすい。すんなり読める直球の本格推理に仕上がっていた。

最初から事件の動機などを探るのは難しいが、途中で提示されるヒント(直接ヒントとは書いてないですよ)などから、直感で犯人にはけっこうたどり着けるのでは?






個人的採点:60点