星の国のアリス 著:田中啓文
星の国のアリス
田中啓文:著
祥伝社 ISBN:4-396-32891-5
2001年11月発行 定価400円(税込)
字も大きめだし、147ページしかないので、1時間程度でサラって読めちゃううんだけど…宇宙船の中を吸血鬼が闊歩し、連続殺人を繰り返すという…SFであり、ホラーであり、推理小説でもある、なかなかユニークな作品。
16歳の少女アリスは、唯一の肉親である兄と別れ、遠縁の親戚の家に厄介になるため、初めての宇宙船旅行だった。アリスの乗る宇宙船・迦魅羅号は、惑星ラミアに向けて出発したのだが…途中で密航者の死体が発見された。見つかった死体からは、血が抜き取られていたのだ。さらに、乗客の中に吸血鬼の末裔がいるという噂が出始めた…。元々は貨物船だけど希望があれば人も載せられるという小型の宇宙船なので乗員乗客合わせてたった7名しかいないのだが…みな、吸血鬼に恐怖し疑心暗鬼に…。
田中啓文らしく、文体はコミカルで、ちょっと下品な感じなんだけど…何気にしっかりとSF小説になっている。それでいて、吸血鬼に脅えながら、杭だ、ニンニクだ、十字架だって、吸血鬼ものにももちゃんとなってる。で、誰もいなくなった的に本格ミステリーでグイグイひぱっていって、最後にあっと驚く真犯人の登場。
アイデアはなかなか奇抜で面白いんだけど、やっぱり短いからね…もう一息って感じかな~。
個人的採点:60点