飼育する男 著:大石圭 | 105円読書

飼育する男 著:大石圭

飼育する男

大石圭:著
角川書店 ISBN:4-04-357214-X
2006年7月発行 定価620円(税込)









角川ホラー文庫、大石圭の「飼育する男」を読んだ。今年の夏に出たばかりなのだが、もう100円コーナーにあったので、ちょっと嬉しい。複数の女性を同時に監禁して性の奴隷にしてしまうという変態男のお話で、映画の「コレクター」と、映画にもなっている松田美智子の「完全なる飼育」シリーズをあわせたような内容で、ホラーというよりは、今まで以上に官能小説みたいなところがある。

元モデルの水乃玲奈は、昔の栄光を多少を懐かしみながらも、主婦として、母親として幸せな生活をしていたのだが…ある日、突然、宅急便を装った男に自宅に押し入られ、気が付けば…無機質な密室に閉じ込められていた…。正体不明の男は、暴力や性的な陵辱を酷使し、自分の都合のいいような性の奴隷になるよう、彼女を飼育し始めたのだった…。実は、他にも似たような女性たちが、複数、男により監禁されていたのだ!?

著者の性的嗜好が今まで以上にストレートに表現されている感じですね(笑)子供の時に、落ちていたエロ雑誌(しかもSMもの)を見て、性に目覚めてしまうというような導入部分なんかは…まぁ、男にはよくあるパターンのエピソードなので、意外と共感できちゃったりもするんだけどね。また、自分も収集癖は強い方なので、好きな物をコレクションしたいという衝動も分からないわけではない。

完全犯罪を成し遂げるには、ある程度、裕福な暮らしをしていないと成り立たないという印象を受けるのは、大石圭作品を読んでいていつも思うことです。女性を監禁するのに、人里離れたところに、広大な住まいを持っていたり、それなりに設備を整えてなかったりしないといけないですからね…今回の変態男も、親の遺産を相続したボンボンという、ちょっとワンパターンな設定ではあるんだけど…実の娘がいて、父性に目覚めちゃったりするところは、意外と新しい展開?

全体的な物語としての新鮮味はちょい薄いんだけど…男って、こういう願望あるよな~ってチクリと刺激されるものは感じましたね。ホラーというよりは、大石版官能小説として楽しみました。






個人的採点:65点