紫の館の幻惑 卍卍教殺人事件 著:倉阪鬼一郎
紫の館の幻惑
卍卍教殺人事件
倉阪鬼一郎:著
講談社 ISBN:4-06-182436-8
2005年6月発行 定価966円(税込)
倉阪鬼一郎のゴーストハンターシリーズです。これを推理小説というジャンル別けにするのが正しいかどうかわからんが、タイトルに“殺人事件”の文字も入ってるし、ちゃんと推理してるし、まぁいいだろう(笑)ゴーストハンターシリーズには珍しく、他のホラー作品のような倉阪節が過剰に爆発していたんじゃないでしょうか?そのあたりも踏まえて、いちげんのミステリファンというよりは、コアな倉阪ファン向けの作品です(多分、面白さがわからない人は倉阪作品を読んでいない人)。帯にある通り、ミーコちゃんも大活躍!?
人間社会に溶け込んで生活している吸血鬼、ゴーストハンターこと雨久俊家やそのお仲間たち。彼に敵対する、吸血鬼原理主義者が裏で糸を引く“卍卍教”という宗教団体にスパイとして潜入した仲間と連絡が取れなくなったことから、今度は自分たちが教団へ潜入することに。信州の山奥に聳え立つ教団施設に向かうのだが、そこで殺人事件に遭遇してしまう。
約290ページある本文も、200ページくらいまではダラダラしてます。推理小説として挑むと非常に退屈であるんだけれども、キャラ小説として読むと、ゴーストハンターを始めとする吸血鬼トリオの掛相はけっこう楽しい。
途中で挿話される、“卍卍教”信者の視点が…小学生が書いたポルノみたいで、なかなか読みづらい。倉阪作品ではよくあるパターンで、意味不明な文章なんだけど…色々、事件を読み解くキーワードにもなっているので、種明かしまで我慢してお付き合いしましょう(笑)
後半部分、意外と真面目に“探偵小説”してるのですが…クライマックスは大笑い。いや、凄く壮絶、凄惨なんですよ…その他の倉阪ホラーみたいで。オチがなかったら、まぁまぁかなってところだけど、一気に作品の面白さを挽回してくれましたね。良かったです。
個人的採点:65点