レオナルドの沈黙 著:飛鳥部勝則
レオナルドの沈黙
飛鳥部勝則:著
東京創元社 ISBN:4-488-01299-X
2004年8月発行 定価1,680円(税込)
一時期、「誰のための綾織」という作品の盗作騒動で話題になった飛鳥部勝則が書いた「レオナルドの沈黙」を読む。まさか、コレは“ダヴィンチ・コード”のパクリとか?
元大物プロデューサーの屋敷で、業界の仲間が集って行われた降霊会…ゲストとして呼ばれた巷で話題になっている霊媒師・派波京介は、参加者の一人に殺したい人間を問いかけ、その人物を念力で殺すと殺人予告を宣言。その言葉通り、たまたま名前が挙がった画家が、何十キロも離れた地で、首吊り死体で発見された。その現場はとにかく異様で、自宅の家具類が一切合財、外に放り出されており、空っぽの部屋でレオナルド・ダ・ヴィンチの手稿本を踏み台にし首を吊っていたらしい…。霊媒師の予告どおり本当に殺人なのか?それとも自殺なのか?事件に興味を持った、芸術家の妹尾悠二が、華麗に事件を推理するのだが…さらなる事件が!?
全然「ダヴィンチ・コード」のパクリではありませんでした、ご安心ください(笑)ただ、犯人当ての根本にあるトリックは、最近、似たような手法で書かれた作品を読んでました…そのくせ作者の術中にまんまとハマってしまった自分が本当に情けなくて、悔しいです。冒頭の序章から、違和感ありありなんだけど…その後に出てくるあからさまなヒントの方に騙されてしまいました。
で、オカルト話やら、ミステリー談義やらでどんどん作中の人物たちを惑わすのと同様に…読者までをも煙に巻いていきます。原作者も余裕ぶっこいて…読者への挑戦を行い…最後の真相解明で、容疑者も少ないしヒントを与えすぎちゃったから簡単だったでしょ?みたいなこと言いやがる。超ムカツク!?(笑)
最初のほうで感じた違和感の正体に気づいた頃には、後の祭り…探偵役が犯人を名指しする直前でした。
作中の中の事件で用いられた、トリックなどは案外、ぶっ飛びの荒唐無稽さであり、そいつを理詰めで看破していくんだけれども…真相解明に至るまでは、いささか物語が単調な印象。作者に騙されたのであまり偉そうなことは言えないんだけど…一般的な本格推理小説として、そこそこ楽しんだかな。
事件を引っ掻き回す霊媒師の言動がちょっとウザイ。
個人的採点:65点