ザ・ハンマー 著:飯野文彦 | 105円読書

ザ・ハンマー 著:飯野文彦

ザ・ハンマー

飯野文彦:著
エニックス ISBN:4-7575-0485-3
2002年8月発行 定価882円(税込)









1冊前に読んだ本が、けっこう頭を使う読み物だったので、今度は頭を使わない物がいいと思って、これをチョイスしてみた。カバー裏のあらすじ解説にあった“超Z級スプラッターホラー”という言葉に、惹かれる(笑)エニックスがスクウェア・エニックスになる前に出版された本なので、一応絶版みたい?Amazonのマケプレなんかではまだまだ買えるみたい。

とある地方の閉鎖的な田舎町、矢摩来町で、猟奇的な殺人事件が発生。町の権力を牛耳る町長、野義昭造の長男・昭治が、カーSEXの名所でもある町の高台でガールフレンドとよろしくやっているところを巨大な化け物のような影が襲ったのだ!昭治はなんとか助かったものの、ガールフレンドは元の形が判別できないほどの肉塊と化していた。この事件を皮切りに、矢摩来町で同様の惨殺事件が連続して起きる。停職中の刑事、皆藤幹也は復職をかけて、犯人を追う!

本当にZ級ですね(笑)出てくるキャラクター、ほとんど変態だよ。超下品なエロ&バイオレンスオンパレードで…最初のうちは鬼畜な文章も…「13日の金曜日」とかハリウッドホラーでも見ているような雰囲気(SEXしか考えてないバカモノな若者が惨殺されるというお約束)で面白く読めたのだが、最後まで同じテンションだと、かなり疲れる。もう、何度…糞尿・ゲロ、その他類する言葉が出てきたことか。何かあるたびに、出てくる奴らは糞まみれ、ションベンまみれになるんだこれが。あとはSEXネタばっか。

一応は、刑事が犯人探しする(=怪物の正体を突き止める)なんてサスペンスミステリーな要素もあるんだけど、怪物の正体は予想通りで、驚きはない。下ネタ描写はやたらと丁寧で、要らん描写もたくさんあるくせに、肝心の何故、そういった怪物になってしまったかというのは、けっこうおざなりな説明で、この辺もB級ホラー映画と同じノリを感じる。

綾辻行人の「殺人鬼」をもっと低レベルにした感じの作品だった。糞、ションベンの描写だけでももう少し控えてくれれば、それなりに楽しめたのだけどね…程ほどにしてくれよ。

主人公の刑事もとんでもないチンピラ刑事…停職になっているのは仲の悪い上司の嫌がらせなんだけど、元々からかなりのごろつきだったんだ、これが。

最初の方は…明確な時代設定が提示されてないんだけど、妙に古臭いイメージが付きまとう。そしたらさ、“南海の野村(克也のこと)”とか、“ジャイアント馬場とボボ・ブラジルの試合を見た”なんて描写がさりげなく出てくるんだ。「エクソシスト」が新作映画として語られているのをみると、1974年前後なんだろうと思うけど。

エニックス発行の小説というと、たぶん…ターゲット年齢は低めだと思うんだけど、それにしちゃ、オゲレツ(死後だろこんな言葉)すぎるね。






個人的採点:50点