ST 警視庁科学特捜班 緑の調査ファイル 著:今野敏 | 105円読書

ST 警視庁科学特捜班 緑の調査ファイル 著:今野敏

ST 警視庁科学特捜班 
緑の調査ファイル

今野敏:著
講談社 ISBN:4-06-182415-5
2005年1月発行 定価798円(税込)








ちょこちょこ読んでいる今野敏のSTシリーズ…途中で「黒いモスクワ」というのを1冊だけぬかしてるんだけど、その後は順番にシリーズを読みすすめています。ここ何冊かはSTメンバー個人、一人一人をクローズアップさせた青、赤、黄の調査ファイルというパターンが続いてるけど…今回は紅一点の翠さんの特殊能力をメインに扱った“緑の調査ファイル”。

世界的に有名な指揮者の辛島秋仁が凱旋コンサートを行い、ゲストとして、バイオリニストの柚木優子がストラディバリウス持参で参加すると話題になっていた。その柚木優子から、1億円の価値があるストラディバリウスが盗まれたという通報が警察に…。事の重大さから、警察上層部も最高の捜査態勢で事件解決を目指そうと…STメンバーにも召集が。事件関係者の聞き込みのため、辛島秋仁にも話を聞くSTメンバーだったが、音に敏感な翠の特殊な体質に辛島は興味を示す。さらに、バイオリンの行方不明な状況で…今度は柚木優子の宿泊先のホテルで、コンサートマスターの死体が発見され、なんと現場は密室だった!

ひねくれた推理小説のように、アクロバティックなトリックは出てこないのだけれども…バイオリンのすり替え、密室殺人と、今までになくけっこう推理小説の醍醐味が味わえる内容であり、なかなか面白かった。盗難事件が発端になっているところも、今までと違う趣向だね。いつもは無難に活躍する赤城あたりは、ほとんど出番がなく…翠と青山が率先して事件解決に貢献していた。いい感じで、お約束のパターンを踏み外してくるところも新鮮だった。

初期作品に比べて、青、赤、黄と物足りない部分も感じていたのだが、久しぶりに読み応えがあってよかった。事件関係者の人物描写なども面白いし、レギュラーキャラの意外な一面も見れてなかなか。






個人的採点:75点