コスプレ温泉 著:吉岡平
コスプレ温泉
- 吉岡平:著
朝日ソノラマ ISBN:4-257-77021-X
2003年10月 定価520円(税込)
何かの書評記事で、この作品が面白いとベタ誉めされていたので、興味があって探していた。いつもは、ライトノベル系の作品も、無理矢理、SFやミステリーのジャンルに押し込んで語っていたのだが、さすがにこの作品は当てはまりそうにないので、とうとう、当ブログにも、ライトノベルというカテゴリを作ってしまった(笑)
「そげな銀行」の店頭係…乾岬、23歳。ボーナスを間近に控えたある日、突然…国営化が決まり、合併・支店閉鎖⇒人員削減で、専門職以外の女子店頭係は一方的に解雇されてしまった。呆然とする岬の前に、銀行の元同僚で後輩の頼子が、ある目的をもって声をかけてきた…。そして、岬は詳しい説明も受けないまま頼子に連れて行かれたのは、なんとコスプレイヤーが集う、イベント会場だった。頼子はこの世界で既に、ある程度のカリスマ性を得ていたのだが、その頼子が、岬にはコスプレの素質があると見抜いたのだ!戸惑いながらもコスプレの魅力にはまっていく岬…もちろん無職!
昨日読んだ「ぼくらの時代」が30年前の若者青春物語なら、これが現代の若者青春だね(笑)
自分もアニメは好きだが、このコスプレの事はよく知らないので、主人公と同じ気持ちで、最初はちんぷんかんぷん。でも、ところどころで発せられる、アニメ用語には微妙に反応してしまう(笑)知らないキャラの名前など、ネットで検索しながら読んじゃったりして、だんだんと面白くなっていく。
で、ようやく主人公の岬ちゃんも、読んでいる自分も、コスプレに詳しくなったと思った頃に、いよいよ“コスプレ温泉”の本題に突入。前半に増して、馬鹿馬鹿しい展開に大笑いさせられる。
ただ、その馬鹿馬鹿しい中にも、過疎化が進む田舎の、切実な村おこし願望がしっかりと描かれており、突飛なアイデアで、さびれた温泉宿を救うというのは、現実にも成功例が色々あるわけで…あながちフィクションだと馬鹿に出来ない内容になっている。
秀映社(=集●社)の漫画誌ダンプ(少年ジャ●プ)で、連載しているコスプレ好きで、コミケなどのイベントが近づくと連載に穴をあけちゃう漫画家って…設定のあのキャラが、妙にリアルです。他にも、色々と…架空のはずのキャラが、どこかで聞いたことあるような逸話が隠されていて、きっとアニメ好き、漫画好きの人が読んだら、メチャメチャ面白いですよね。
欲を言うなら…“コスプレ温泉”の営業をもう少しツッコンで読んでみたかった。後半がスピーディーすぎるね。ぜひ、続編を!
個人的採点:70点