ロマンス小説の七日間 著:三浦しをん
ロマンス小説の七日間
三浦 しをん:著
角川書店 ISBN:4-04-373601-0
2003年11月発行 定価620円(税込)
今年、直木賞を受賞したということで話題になった、三浦しをんの小説をはじめて読んでみる。一応は恋愛小説らしいのだが…洋書の翻訳をやっている主人公という設定で、作中作のような構成になっている。
仕事でロマンス小説の翻訳作業中のあかりは…恋人の神名と半同棲中。その神名が突然、自分に内緒で仕事を辞めたと告白したことがきっかけになり、翻訳作業どころではなくなる。それでも締切が迫っており、なんとか翻訳を進めるのだが、神名の不可解な言動に惑わされ、次第に翻訳中の小説の内容に影響が出始める…。あかりは、ロマンス小説のストーリーを捏造しはじめたのだ!
いきなり中世のなんたらかんたらの話から始まるので、正直、最初はとっつきにくかったものの…作品の構成を理解するとなんとなく読みなれてきた感じ。作品の捏造というのはけっこう笑え、ワンパターンがモットーのロマンス小説でこんな展開にしちゃっていいのかよ!というツッコミ(作中、神名くんも同じツッコミを入れていた)を入れて楽しめるし、現実の二人の関係を暗示しているところもあるんだけれども…結局は、本筋の添え物程度にしか、自分は感じられなかったかな。アイデアは面白いんだけど、中世云々のロマンス小説の部分が、やっぱり自分は好みじゃないんだな、きっと(じゃあ、こんなタイトルの本を買うなよ!)。
で、本筋のほうも…そこそこ長く付き合ってるカップルのリアルな日常やり取りも垣間見れるのだが(翻訳した小説を読んで恋人が欲情しちゃうところとか笑える)、全体的に浮世離れした印象。「海のトリトン」や「ムーミン」ネタは世代的に、自分らにピッタリ(笑)あかりの親父や、幼馴染の百合との会話や描写はけっこうノスタルジックな味わいで好きかもしれない。
個人的採点:60点