10センチの空 著:浅暮三文
10センチの空
浅暮三文:著
徳間書店 ISBN:4-19-861776-7
2003年12月発行 定価1,260円(税込)
推理作家として有名な、浅暮三文が描く、現代を舞台にしたほのぼの系青春ファンタジー。10センチだけ空を飛べるという、不思議な大学生の物語。
大学4年の川原敏也は、他の仲間たちがせっせと就職活動に励んでいる姿を横に見ながら、自分は何をしたいのか理解できずに悩んでいた。中途半端で平凡な彼の取柄といえば、たった10センチだけ空を飛べることしかない…。そんな敏也の身に、あるラジオ番組が発端で不思議な現象が起きはじめる…。
無気力な若者の自分探しの物語…解決の糸口は、自分の過去の記憶の中にある?自分の持っている不思議な力は、どうして身に付いたのだろうか?何故、空を飛ぶことを忘れた自分が、急にそのことを思い出し、また飛べるようになったのか?それを見つけられれば、前に進むことができるのでは?ラジオのパーソナリティと、番組で読まれるハガキを通じてコミニケーションを取りながら、答えが明かされていく。
少ないページ数、少ない登場人物で、あっと思わせる驚きを用意しているあたりは、ミステリ作家らしい、粋な心意気?
読んでいる最中に、自分もちょっと過去を振り返ってみたくなる。というか、30過ぎても無気力な自分の姿と、主人公の姿が妙にダブル(笑)主人公がちゃんと自分で解決したけどさ、自分はまだまだ悶々としております。
前回まで、わりとダークな内容の重い小説ばかり読んでいたので、今回は爽やか系で(笑)
個人的採点:65点