シャルロット・リーグ1 招かれた小鳥 著:吉岡平 | 105円読書

シャルロット・リーグ1 招かれた小鳥 著:吉岡平

シャルロット・リーグ1 招かれた小鳥

吉岡平:著
エンターブレイン ISBN:4-7577-2357-1
2005年8月発行 定価630円(税込)









著者が「そして誰もいなくなった」+「スケバン刑事」+「バトルロワイアル」+「ハリー・ポッター」だという学園ミステリ「シャルロット・リーグ」を読む。この巻では物語は完結せず、3部作になっているらしいのだが…とりあえず2巻まで100円で見つけてあるので、次も続けて読むつもり。巻末に50ページほどの、作品の元ネタになった、短編が収録されている。この趣向は最終巻まで続くそうだ。

両親に先立たれ、中学卒業後、フリーターとして暮らすことを決めた倉崎すみれに届いた、聖星学園の入学許可証。なんだか意味が飲み込めないまま、すみれは何者かに拉致されて、その学園へ放りこまれてしまった。そこには、すみれと同い年の男女が集っていたのだが、それぞれに得意分野があり、一癖も二癖もある、一風変わった生徒ばかりだった。さらに、学園は外界とも隔離 されており、不気味な教師たち、姿が見えない上級生と…すみれには理解できないことばかり。普通の高校ではない、その学園の目的とは…。

ぶっちゃけ、ファミ通文庫なので、ライトノベルです。でも、一応…ジャンル的には、これから推理小説になっていくのではないかと?と、いうことで…自分は推理小説の分類にしておきます。

まぁ、「バトルロワイアル」で言うと、ようやく首輪の説明が終った程度の進行度かな?まだキャラクターや舞台の紹介程度の広がりで、ようやく最後の10ページくらいで、事件が発生!?これから、生徒たちが“殺し合い”をして、その犯人や手口を色々と推理していくんじゃないかなって想像はするんだけれども…どうなることやら。

名探偵養成学校、襲名制の“シャルロット・ホームズ”…その資格を有するものが、一般生徒にもぐりこんで、もう一度、楽しい学園生活(つまり殺し合い)をエンジョイしようというのが…冒頭のプロローグ部分で語られる。まぁ、ストレートに考えると、そのシャルロットの正体はあの人物なのだろう?それとも、読者を欺く何らかの、トリックがあるのか?1巻を読む限りじゃ、まだまだ色々な想像が膨らむだけ。

ハリポタを茶化したり、その他、ミステリに関する薀蓄で進める、キャラクターのテンポの良い会話などけっこう面白い。毒物の講義など、トレビアな雑学知識が色々と盛り込まれている。


併録:シャルロット・ホームズの冒険 T・レックスの瞳

「シャーロック・ホームズ」のパロディ?アプローチ的には「金田一少年の事件簿」みたいに、ホームズの曾孫が、華麗な推理力で事件を解決していくというお話。宮崎駿のアニメ、犬の「名探偵ホームズ」でも見ているような、ドタバタ風なところもけっこうあるか?何故かワトソン役は、かつて父親が探偵だったらしい…金田一敬助。

大学卒業を目前とし、留学という名目で、恐竜の化石発掘の旅に、イギリスにやって来た金田一敬助は、不思議な少女と出会う。シャーロック・ホームズの曾孫だと名乗るシャルロットは、曾祖父のブランドを借りて探偵稼業を始めようとしていたのだが、その助手として、彼女のお眼鏡にかなったのが、敬助だった。資金稼ぎのため、シャルロットはある富豪が所有する「T・レックスの瞳」という100カラットのダイヤを、脅迫状を送りつけてきた悪党から守るという依頼を受けていた…。

敵の名前が、森脇教授…アレ、もしかしてモリアティー教授のパロディ?実は「シャルロット・リーグ」の方にも、同一人物かどうか定かではないが、森脇教授が出てきたんだけれども、その時は、全然気が付かなかったよ。

事件自体はどうってことなかったが、本当に古典の洋物ミステリーを読んでいるような、薀蓄がいっぱいで、やけにもったいぶった文体とか、なかなか雰囲気が出ている。






個人的採点:65点(本編+オマケを両方、ひっくるめて)