ジウⅡ 警視庁特殊急襲部隊[SAT] 著:誉田哲也
- ジウⅡ 警視庁特殊急襲部隊[SAT]
誉田哲也:著
中央公論新社 ISBN:4-12-500935-X
2006年3月発行 定価1,050円(税込)
一ヶ月くらい前に読んだ、「ジウ 警視庁特殊犯捜査係[SIT]」の続編を100円コーナーでGETしたので、早速読む。
二つの誘拐事件の首謀者が、“ジウ”という名の少年であるという見方を強めた捜査本部。先の事件で逮捕した容疑者の取調べを行う門倉美咲と、上司の東は…容疑者の語る危険な思想、彼らの背後に存在する闇の正体に戦慄する。一方、人質の救出劇で同僚の雨宮を失った伊崎基子だが、基子本人の事件解決への功労が認められ、特進。SATを離れ、所轄の交通捜査係に配属されるのだが…怪しげな記者が彼女に付きまとい、いつしか2人は独自に“ジウ”を追うようになる…。
今、一般の本屋では、このシリーズの完結編にあたる「ジウⅢ 新世界秩序[NWO]」が平積みされているが、この2巻目では、完結編へ向けて事件がさらにスケールアップしていく。そして、警察が追う“ジウ”の正体も少しずつ明らかにされていくのだが…流行の三部作映画同様、1~2巻は完結編に向けての壮大な前フリみたいな感じなので、物語的には、投げっぱなしみたいな印象を前作以上に感じてしまうかな?「スター・ウォーズ」の映画の真ん中みたいなもんだね(笑)
最初はただの誘拐事件だったのが…日本を転覆させてやろうと企むテロ集団的なお話になっていく。で、警察の捜査はまだまだそこまで及んでいないって感じなんだ。各章の冒頭で語られる、ある人物の想像を絶するような幼少期のエピソード…誰の視点で語られてるんだろうなって、ずっと気になっていたんだけれども…その正体が分かると、一応、1巻目に、伏線らしき記述があったことを思い出す。
大沢在昌の「新宿鮫」みたいに…かなり警察組織の描写が克明に描かれてるんだけれども(組織図なんかも載っていたりする)、少しずつ、各ピースが埋まっていき、直接は作品の中で語られていないのだけれども、今後の展開がなんとなく見えてきた感じ。最初は同僚として同じ部署にいた、2人の女性警察官。全く正反対な性格で、どんどんと別々の方向へと道を歩んでいくのだが…時たまニアミスをする。ここまで読んでくると…最後はどんな関係になるかは、おのずと想像できてくるんだけれども。
SATのタイトルが付いているわりには、肝心な基子は、一時、SATを離れてしまうので、前作に比べてSATの活躍場面は少ないようにも感じるのだが…最後まで読むと、このタイトルで良いんだと納得できるかな。
捜査の過程や事件解決の為の作戦など警察の活躍なんかを楽しむには前作の方が面白かったが…次に起きるだろう何かを期待させるために、犯人側の思想を前面に押し出してきた感じだ。どんな事態になるのか…続きが気になるところだ。
個人的採点:70点