ベクフットの虜〈クレギオン7〉 著:野尻抱介 | 105円読書

ベクフットの虜〈クレギオン7〉 著:野尻抱介

ベクフットの虜〈クレギオン7〉
 
野尻抱介:著
早川書房 ISBN:4-15-030771-7
2004年11月発行 定価714円(税込)









ずっと読んできた野尻抱介の「クレギオン」シリーズも、この7巻目で終了となる。今回のあとがきで、著者本人は、シリーズの完結宣言を出したわけではないということで…機会があれば、ハヤカワでの再リリースを機に、この世界観で続編を書いてみたいようなことを匂わせているのだが…今のところは実現していない模様?

ミリガン運送の見習い航法士として働くメイは、家で同然で飛び出してきた手前、故郷の両親には“危ない仕事などなく、元気にやっている”と繰り返し手紙を書いているのだが、実際のところは…危険な仕事も山ほどこなしている。そんなある日、故郷の両親が旅行がてらにメイを訪ねて来ることになってしまった。両親を上手に誤魔化そうと思案するメイたちの次の仕事は…軍からの依頼で戒厳令下の惑星ベクフットへ向かうこと。さらにメイの心配が的中したかのように、またまたトラブルが発生。なんと、ミリガン運送の面々はベクフットで海賊に騙され、拉致されてしまったのだ…。

シリーズの初期に登場した、メイの両親が久しぶりに物語に絡んでくるということで、メインの主人公はメイちゃん。SF的には、艦隊消失事件の謎と、惑星ベクフットに生息する生物の関係を軸に…海賊や軍を巻き込んでの大騒動が勃発。今回は宇宙船ではなく、潜水艦が主舞台となるというのが、なかなか斬新。海賊の一人が、潜水艦を「独立国家にしよう」と発言するところは、ちょっと笑ってしまった(沈黙の艦隊?)

ただのゲストキャラだと思っていたメイちゃんが、ミリガン運送の仲間に加わり…色々な経験を経て、ちょっとずつ成長しているという、その成果を確認するための途中経過ってところでしょうかね?なんとか仕事をやめさせて、実家に連れ戻そうとする母親。最後のオチもいかにもな感じで…シリーズものの一時休止には、よくあるようなパターンでしたね(笑)ぜひ、続編を書いていただきたい。






個人的採点:70点