タリファの子守歌〈クレギオン5〉 著:野尻抱介 | 105円読書

タリファの子守歌〈クレギオン5〉 著:野尻抱介

タリファの子守歌〈クレギオン5〉

野尻抱介:著
早川書房 ISBN:4-15-030764-4
2004年7月発行 定価672円(税込)









かつて富士見書房で出版されていた野尻抱介の“クレギオン”シリーズが、ハヤカワ文庫で再リリースされている。富士見書房版だったら、100円コーナーでも集めやすいのだが、ちょっと表紙なんかもライトノベル色が強いのがネック。さすがハヤカワの方はしっかりとSF小説らしさが感じられるから、なんかいい。1~4をハヤカワ文庫で集めてしまったので、根気よくハヤカワ文庫版を探していたのだが、ようやく5~7も見つかった。前作を100円コーナーで見つけてから、実に約1年ぶり。ということで、一気にシリーズを読もうと思っている。

稀少宝石のタリファ・オパールが採掘できるという辺境の惑星X1069…通称タリファ。ミリガン運送のロイドは、一攫千金を求めて今度の仕事先をタリファと決めるのだが、パイロットのマージは大反対。しかしタリファという名前を聞いて、昔、商船大時代のパイロットの教官が、その星で働いているとの噂を思い出したマージは遂に、ロイドの意見に折れてしまった。そして、いざタリファまでやって来たのだが…明暗境界線に凄まじい砂嵐が発生し、とても過酷な環境にあるということが判明。離発着も命がけで行わなければならなかった。苦労の末たどり着いたタリファで…マージは、噂通りにそこでかつて教官だった男と再会するのだが…。

美人だけど、がさつで男勝りなパイロット、マージねーさんの意外な過去が判明する。ちょっと甘いロマンスでも展開するのかなって期待していたのだが、 シャトルを使ってのレースがメイン。タイトルが子守歌ってだけに、SF版“スリーメン&ベビー”な展開に…なんとある人物から頼まれた積荷が赤ん坊だったのだ。赤ん坊の世話なんかしたことない、美人パイロットと、子供を作る前に離婚しちゃった中年オヤジが、赤ん坊に右往左往する場面はなかなかおもろい。赤ん坊がとった偶然の行動がピンチを救うなんて展開もいかにもな感じ?

専門的なSF描写も多いのだが、わりと軽めな物語なので…相変わらずスラスラと読みやすく、安定した面白さ。






個人的採点:65点