クリスマスローズの殺人 著:柴田よしき | 105円読書

クリスマスローズの殺人 著:柴田よしき

クリスマスローズの殺人

柴田よしき:著
原書房 ISBN:4-562-03717-2
2003年12月発行 定価1,680円(税込)










柴田よしきの「クリスマスローズの殺人」を読み終わった。実は、この作品はシリーズものであり、他社から出ている「Vヴィレッジの殺人」という作品を読んでおくと、面白いのだそうだが…自分は未読。物語自体は独立しているので、コレ単体で読んでも一応OK。

貧乏探偵のメグは…日銭を稼ぐために、同業者・高原咲和子から回してもらった、浮気調査に取り掛かる。夫が出張中に妻が浮気をしていないか確かめるというのが依頼内容だ。張り込み調査の交代要員として、本職は推理作家なのだが、探偵の取材を切っ掛けに探偵業の奥深さに気づき、アルバイトとしてメグを手伝っている太郎も調査に参加することになった。2人は張り込みを続けているうちに、対象者の家の様子の異変を察知し…直接忍び込むことに。そこでなんと、出張中の夫の死体を発見し、家にいるはずの妻が失踪してしまったのだ。さらにこの事件が、警察も手を焼いている“クリスマスローズ事件”という連続殺人に関わってくるのだが…。

実は、推理小説なんだけど…一癖あって、吸血鬼が人間社会に紛れ込んで生活しているというのが大前提で語られるお話だということ(ちょっと倉坂鬼一郎のゴーストハンターシリーズと、アイデアがかぶったりしているようにも感じる)。詳しくは前出の「Vヴィレッジの殺人」を読んでくれというお願いが作者から冒頭で提示されているのだが、この設定を否定しちゃうと、作品が成立しないので、この手のキワモノが苦手な推理小説ファンにはお薦めできない作品だ。

奇抜な事件が発生し、推理合戦、証拠固めと…意外とフェアにミステリー、犯人探しをしてくれるのだが、やはりオチは、かなり特種なものとなる。軽い感じで物語を楽しむならいいけど、ミステリーとして期待するとやや拍子抜けか?個性的な吸血鬼たちのやり取りが、やたらとコミカルなのは、やはり倉坂作品の物真似に感じてしまう。

昔は、「女刑事RIKO」シリーズなど、柴田よしきの作品はけっこう好きだったので、もうちょっとハードな内容を読みたかった。これだったら、もっとホラームードを出して、血なまぐさく展開してくれても良かったのでは?






個人的採点:60点