裏山の宇宙船 著:笹本祐一 | 105円読書

裏山の宇宙船 著:笹本祐一

裏山の宇宙船

笹本祐一:著
朝日ソノラマ ISBN:4-257-01072-X
2005年6月発行 定価1,155円(税込)










「エリアル」シリーズの笹本祐一による、ほのぼの系のジュブナイル小説?1994年に前後編で発刊された文庫作品を、加筆訂正後に1冊の本としてノベルズ化したリニューアル版だそうで…オリジナルは未読。

とある田舎にある高山高校の「民俗伝承研究会」の会長・佐貫文は、部の存続をかけて、今度の文化祭で実力を示そうと、一人息巻く。そこで町に伝わる「天人伝説」をテーマに掲げたのだが、たった2人の部員、昇助と晶、そして何故か部室に入り浸っている先輩OBの一郎は真面目に取り合おうとしない。そんな時、台風の影響で文の自宅の裏山の一部が崩れ、その下から怪しげな物体が発見される。物知りの昇助は、宇宙船ではないかと指摘…天女伝説との関わりを指摘する。かくして、夏休みを利用し…宇宙船の発掘&調査がスタートしたのだが…。

確かに難しいSF的な専門用語も飛び出すのだが…キャラクターたちの漫才のような掛け合いが、とにかくおかしく、難しい事はあまり理解しなくてもいい感じ(笑)小説の中でも、事態をしっかり把握しているのは、天才少年な昇助くんだけであり…あとのメンバーはトンチンカンなことばかり言ってるので、読者もこのトンチンカンなメンバーと同じ気持ちで読んでいれば、作品を充分に楽しめるってわけです。

後半では猫型美少女な宇宙人とのファーストコンタクトの様子が描かれていくんだけど…読者を難しい言葉で煙に巻いて、説得する気は毛頭ないらしく、作品の中で物事をしっかり把握している昇助くんの言葉を借りて、なんでもかんでも、こうなんだって言い切っちゃうんだよね。だから、本当に都合よくポンポン話を進めてくれるので…けっこう読みやすかった。

ところどころ、今風の小道具や解釈が出てきたりするので、きっとその辺が、書き直してる部分なんじゃないかと、オリジナル未読の自分としては勝手に解釈したりしているのだが、それでもカセットテープなんかが重要なアイテムとして使われていたりして、ちょっとノスタルジックで、アンバランスさが微妙にいい感じだった。






個人的採点:70点