白昼蟲〈ハーフリース保育園〉推理日誌 著:黒田研二
白昼蟲〈ハーフリース保育園〉推理日誌
黒田研二:著
講談社 ISBN:4-06-182365-5
2004年3月発行 定価1,029円(税込)
黒田研二の〈ハーフリース保育園〉推理日誌、第二弾…一応の主人公で、物語の語り手である、次郎丸諒の過去が大きく事件に関わってくる。前作での、思わせぶりなキャラクター描写は、やはり続編の為だったのね…。
幼児教育出版社の営業マン…次郎丸諒、とある理由から(前作参照)得意先のハーフリース保育園の宿直室に居候中なのだが、大学時代の友人・小菅から、しばらくの間、部屋に泊めてもらえないかと相談を受ける。仕方無しに、知り合いの伝手を頼り、平和荘という格安のボロアパートを紹介するのだが…小菅がアパートに越してきた途端、奇妙な事件が続発。近所の中学生が自殺未遂を起こし、アパートに住んでいたハーフリース保育園の園児が行方不明。さらに小菅本人が、何者かに襲われて大怪我をしてしまった。極めつけは、次郎丸が平和荘で起きた殺人を目撃してしまうのだが…死体が発見されたのは別の場所だった!
こんなに不幸な事があったのかと、次々に明かされる次郎丸の過去。実際に被害者になってみないと分かり辛い、イジメを受ける側の心境なども語りながら、物語やトリックにも上手に反映。前作同様、他の、トリッキーさが売りの黒田研二作品に比べると、やや物足りない面もあるのだが、シリーズものの強みであるキャラクターの魅力や、シリアスとコミカルな要素の見事な按配で、テンポ良く読ませるのはさすが。
犯人は、もしや?と疑っていた人物であり、その犯行の動機なんかもやっぱりって感じでしたが…物語としては、前作よりも面白くなっていた。名探偵ぶりを発揮する、頭脳明晰、美貌の園長先生など…まだまだレギュラーキャラにはミステリアスな部分がいっぱいあるので、また続きを書いて欲しいところだ…。
個人的採点:70点