みすてりあるキャラねっと 著:清涼院流水
みすてりあるキャラねっと
- 清涼院流水:著
角川書店 ISBN:4-04-428501-2
2002年11月発行 定価600円(税込)
昨日まで分厚い、バリバリの本格推理小説をジックリ読んでいたので、次は軽めのものをササっと読みたい気分だったので、コイツをチョイス。清涼院流水も、分厚い小説をいっぱい出してるくせに、これは角川のスニーカー文庫なんで、薄いし、文字も大きめで…1時間ちょっとで読みきれちゃう内容です。ただ、作品の雰囲気を出すために、横書きなのが、ちょっと小説としては読みづらかったか?
学園生活を疑似体験し、13才~19才までしか参加することが出来ないオンラインゲーム“キャラねっと”…その中で、オレの池丸大王は、突然殺されてしまった。一度登録した名前は、二度と使えないというルールがあるので、長い時間をかけて接してきた、自分の分身である愛着のあるキャラクターは、二度と生き返らないのである。普段は、簡単には死なないような設定になっているのだが、いったい何が起きたのか?オレは池丸大王2という名前で、再登録し、自分が殺された原因を追求するのだが、他にも似た事件が頻繁に起こっていた…。
オンラインゲームの中のアイテムを、現実世界で現金で売り買いするために、不正行為でネットの中で泥棒しちゃうなんてニュースが、一時期頻繁に報道されてたよね?この小説が発表されたのは4、5年前だけど…今では、あまり突飛な話でもないかなって思いますね。
オンラインゲームが舞台になっているけど、ネット全体が抱える常識やマナーなんかとも共通している部分があってさ、オンラインゲームなんかやらない自分にも、ネットトラブルの犯人探しをしたくなる気分てのは、けっこう理解できたりする。どこまでネットのコミニケーションというのを信用していいんだろうか?という不安なんかは、ライトでコミカルな文体の中にもよく表現されていた。
ただ前半は、それこそゲームのマニュアルを読んでいるみたいで、ちょっと退屈。ミステリ作家らしく、しっかりとした伏線も用意してあり、ちゃんと推理小説になっている点は評価できるが、事件の結末は想像の範囲内でイマイチ物足りないか?清涼院流水…掟破りな結末だったデビュー作がちょっと懐かしいですね~。
個人的採点:55点