R.I.P. 著:桜井亜美
R.I.P.
桜井亜美:著
幻冬舎 ISBN:4-344-00656-9
2004年7月発行 定価1,365円(税込)
そんなに面白いと思わないのに、何故か手にとってしまうのが桜井亜美…。一番の理由はカバーが好きってことなんだけど、それと1、2時間で一気に読んじゃいたいような気分の時に、お手ごろな文章量というのもあるかな?今日は電車で外出したので、行き帰りの電車の中で読み終えられるようなものがいいと思って、これを持って出かけた。この人の作品って、いつもジャンル別けに困るのだけど、やっぱり恋愛もの?あるネットショッピングには、この作品はハードボイルドってなっていたけど…いつものように自分で判断できないときは“その他のミステリー”ということにするのが、このブログのお約束みたいなもんなんでね(笑)
精密音響メーカーから、SATに出向中の集音解析装置の担当官・天海刹那、仕事はやるが機械的に与えられたものをこなし、職場の人間とも距離を置く。その場限りの相手や、妻子もちの不倫相手などとの付き合いはあるのだが、本当の愛を知らない刹那…同じような日常を繰り返して過ごしていた。ある日、気晴らしに出かけたクラブで、自分が店を出た直後にテロ事件に遭遇。難を逃れた刹那だったが、その直後に現場で犯人と思われる男と遭遇した。そしてその男は…刹那の過去に関係する運命的なある人物と印象が酷似していた。
テロの実行犯と、出向中とはいえ一応の警察関係者である主人公が惹かれ合れあうという、物語自体はどこにでもありそうな話。やっと見つけた真実の愛の為に、今までの日常を捨て去るというお話を、テロというハードボイルドにミステリアスな話を絡めてで描いていくんだけど…急転直下のクライマックスが、とってつけたようなB級映画みたいなノリでかなり拍子抜けさせられた。
男が読んでいて…完璧に見えるクールな女にも、隠された弱い部分や物凄く淫乱な部分があるというのが語られるあたりはけっこう興味深く読めてさ、嫌いじゃないんだ。特にこの主人公の場合は、ひとつ剥がれたら、ボロボロボロって崩れてさ…本当の愛を見つけた!って、高校生のカップルみたいに仕事サボってヤリまくっちゃうって展開とかね、ドキドキして読ませるんだけど…話がミステリーの領域に入るとなんかスカンスカンの中身なんだよね。せっかく主人公たち2人の劇的で運命的な関係が、物語が虚弱なことで…そっちの設定もうそ臭く見えてきてしまうから勿体無い。
個人的採点:55点