藁の楯 著:木内一裕 | 105円読書

藁の楯 著:木内一裕

藁の楯

木内一裕:著
講談社 ISBN:4-06-212640-0
2004年10月発行 定価1,575円(税込)









「ビー・バップ・ハイ・スクール」の原作者、きうちかずひろが、木内一裕という本名で描いた初の小説。ガンアクションが得意な映画監督としても有名なだけに…映画を見ているようなアクションターティメントとしてなかなか面白い!

幼女を暴行のうえ殺害した犯人、清丸国秀は逃亡中だった。過去にも同じような事件を起こし、刑務所から出てきたばかりだったのだ。そんな彼を殺した者に賞金を払うと 遺族の身内が十億円の懸賞金を懸けたことから事態は思わぬ方向へ。生命の危機を察知した清丸は保護を求め福岡県警に自首。警視庁SPの銘苅は、捜査一課や福岡県警刑事たちとの混成チームで、警視庁への護送を命じられ、犯罪者の護衛をするはめになってしまった。案の定、10億円という大金に目がくらんだ輩が次々と清丸の命を狙い始めた…!一般市民はおろか…警察関係者の中にも不審な動きをする者が!果たして、無事に警視庁までたどり着けるのか?

まるでハリウッド映画の「S.W.A.T」のような展開。映画は麻薬王が逃げるために、奪還に成功した人間に本人が成功報酬を払うという内容だったが…こちらは、被害者の遺族が復讐の為に実行するのだ。賞金を懸ける人間の立場が変わっているのだ。ハリウッド映画レベルの話を、日本に置き換えても…小説的なリアルさを損なっていない設定、人物描写がよく描けていたと思う。

小説は初めてだという著者だが、漫画や映像で成功しているだけあって、ストーリーの組み立て方や文章力などは上手なのだろう。単純で直球勝負…エンターティメントに徹していて、テンポの良さが一番の魅力。お得意の詳しい銃器描写なども、雰囲気がよく出ていて好きな点。

映画監督もこなす著者だけに、自分でこの作品を是非、映像化して貰いたい。






個人的採点:70点