失踪HOLIDAY 著:乙一
- 失踪HOLIDAY
乙一:著
角川書店 ISBN:4-04-425301-3
2001年1月発行 定価580円(税込)
表題作の中編+短編1本を収録した乙一の作品。相変わらず、文章などは上手だったが…「失踪HOLIDAY」は他の作品に比べて、案外普通な内容で拍子抜けした。
しあわせは子猫のかたち
人付き合いがあまり上手でない“僕”は…大学生になったのを機に、伯父の所有する家で一人暮らしをはじめる…。実はその家では殺人事件が起きたばかりで、どうやらその殺された前の住人が幽霊となって住み着いている様子だ…。“僕”と“幽霊”の奇妙なお話…。
うーん、サスペンス調の“いま、会いに行きます”って感じかなぁ。オチが読めるのは乙一作品らしいが、作品の雰囲気がいい。
失踪HOLIDAY
大金持ちの娘ナオ…しかし家族とは血のつながりがない。ある日、継母のキョウコと喧嘩した彼女は家を飛び出してしまう。しかしコッソリと屋敷に戻り、ちょっとトロイ使用人のクニコを抱き込み…偽装誘拐を企てるのだが、事態は思わぬ方向に進んでいく…。
東野圭吾の「ゲームの名は誘拐」(映画「g@me」)みたいな内容だったなぁ。乙一にしては普通すぎるくらいの話で、やや拍子抜け。主人公のナオが、やたらとオヤジくさくみえたけど、今時の女の子ってこんななのかなぁ?(笑)コミカルな感じで進んでいって、一応どんでん返しのオチが用意されているが、やっぱりそれも想像の範疇。決してつまらなくはなかったが…乙一はやはり、短編の方が本領を発揮するようだ。
他の作品同様、これも巷での評判はいいみたいだけど…個人的にはグロテスクな路線の方が、好きです。
個人的採点:60点