血文字パズル 著:有栖川有栖 太田忠司 麻耶雄嵩 若竹七海
- 血文字パズル
ミステリアンソロジーⅤ
有栖川有栖 太田忠司
麻耶雄嵩 若竹七海:著
角川書店 ISBN:4-04-426906-8
2003年3月 定価630円(税込)
この角川のアンソロジーシリーズは、前に「殺人鬼の放課後」を読んだけど…今回も作家陣がかなり豪華だ。
有栖川有栖川「砕けた叫び」
自宅で殺された探偵事務所の所長。死体が握っていた…壊れた“ムンクの叫び人形”は何を意味するのか?お馴染み火村&有栖川コンビが不思議なダイイングメッセージの謎に挑戦!
肝心な物語より…探偵事務所の発祥の地が、大阪だというトリビア知識が面白かった(笑)インターネット大活躍!?
太田忠司「八神翁の遺産」
街の発展に貢献した立役者八神信芳翁の孫にあたる、自称実業家が…信芳翁縁の公園で殺された。死ぬ間際に犯人の名前を思われる文字を地面に書き残していたのだが…果たしてその文字が含まれるている容疑者が犯人なのか?捜査一課の刑事も解決できない事件を…老婦人デュパン鮎子と孫娘の奈緒が華麗に解く!
事件そのものより…デュパン鮎子にビックリ。そして殺人事件解決後にビックリ。
麻耶雄嵩「氷山の一角」
芸能プロのマネージャーが何者かに殺された。死ぬ間際に血文字で残した4つの『+』は…コント集団“フォー・クルセイダーズ”を指すものなのか?五秒で解ける事件だと豪語する名探偵メルカトル鮎は…いつもはワトソン役の美袋三条と入れ替わり…美袋に探偵役、メルカトル役を演じるよう提案する。
いつもの探偵役とワトソン役の入れ替わりという…ファンサービスのようなネタでありながら…実はある魂胆が!麻耶雄嵩のシリーズを読んでるいる人なら…なるほど、メルカトルらしいなぁと思わず頷いてしまう。謎解き自体は…並というか、平凡な感じ。
若竹七海「みたびのサマータイム」
17歳の誕生日を一人寂しく過ごしていた渚は、幽霊屋敷と異名をとる別荘で、ある男と出合った。その男は私有地に勝手に入り込み、崖っぷちをふらつく渚を見て…自殺志願者と勘違いしたのだ。ひょんなことから知り合いになった二人…男は別荘の持ち主である病院長の息子・剣持靖志だった。実は靖志には、その昔…この別荘で自殺した姉がいたのだ。姉の残した最後のメッセージを解いた解き、意外な事実が…!
なかなか事件が起きないじゃんと思いながら…渚ちゃんの可愛らしい日常を読んでいると…。前半に思わぬ伏線も隠れていて…相変わらず巧みな青春ミステリーを楽しませてくれる。昔、読んだ若竹女史の古書店シリーズがちょっとだけ関係しているのね。
なんだかんだいって…小奇麗にまとめた若竹七海が一番良かったかな?今回、唯一の女性作家だったし。
個人的採点:65点