42.195 すべては始めから不可能だった 著:倉阪鬼一郎 | 105円読書

42.195 すべては始めから不可能だった 著:倉阪鬼一郎

42.195
すべては始めから不可能だった


倉阪鬼一郎:著
光文社 ISBN:4-334-07571-1
2004年7月発行 定価900円(税込)








この間のBOOKOFFめぐりで見つけてきた…倉阪鬼一郎のマラソンを題材にした推理小説。めずらしく本格推理だよ、それでいて案外普通じゃんと思わせるのですが、最後の最後で、ファンサービス忘れていません!マラソン、駅伝など陸上競技を題材にしたミステリーだと、今年になって安東能明の「強奪箱根駅伝」とか、大石圭の「自由殺人」なんかを読んでいるのだが…。

オリンピックの選考も兼ねた大きなマラソン大会、東京グローバル・マラソンの開催直前に…無名選手、田村健一の長男が誘拐された。犯人からの要求は…そのマラソン大会で彼のベストタイムである2時間12分を切ってゴールしろという奇妙なものだ。もし…失敗すれば長男の命はない。しかし、犯人の要求の中に…常套句である“警察に言うな”という要求が含まれていなかったので…直ちに警察に通報し、捜査にあたるのだが…事件の全容は見えてこない。そしてさらに事件は奇妙な展開へ発展していく。


本格推理らしく…作者からのヒントも出ざれ、事件の真相、犯人も推理小説としてフェアな体裁はとっているのだが…それだけでは終らなくて、最後の最後で、ようやく倉阪鬼一郎らしいなぁと思わせます。いや…ところどころ、らしきものは顔を覗かせていたんですけどね(笑)いつものエログロ度は少なめ。倉阪作品を読んでない人だと…ラストの展開はビックリするかもしれないけど、その他の部分では無難に楽しめると思います。

ランナーの視点、警察など捜査陣の視点、関係者の視点、TV中継の視点などを織り交ぜて…進むなんて構成は先に読んだ「強奪箱根駅伝」にも似ているかなって思ったのだが、作品全体のテンポの良さはこちらの方があったかな?意外とサクサクと読めてしまった。






個人的採点:70点