鬼の探偵小説 著:田中啓文
- 鬼の探偵小説
田中啓文:著
講談社 ISBN:4-06-182202-0
2001年8月発行 定価819円(税込)
伝奇小説のようなオカルティックな要素と本格推理小説の奇妙な融合?一見、京極夏彦チックだが…京極とは正反対な作品。妖怪を題材にした猟奇事件を集めた連作短編集。
鬼刑事と異名ととる忌戸部署の鬼丸三郎太刑事にはある秘密があった…。 アメリカ、ハリウッド帰りの警視庁のエリート刑事、ベニー・吉垣は陰陽道を操るハーフ。彼は一見うだつのあがらない、鬼丸に何かを感じ…事件の度にコンビを組むようになる。
「鬼と呼ばれた男」
両目をくりぬき、左右を入れ替えるという…猟奇事件が発生!被害者はマニア向けのコレクターズアイテムを売買するブローカーだった!
「女神が殺した」
飛び降りの目撃情報が通報されたが、警官が駆けつけると、現場は何事もない。似たような通報が相次ぐのだが…その裏には怪しげな新興宗教が関わっていた。
「蜘蛛の絨毯」
蜘蛛館と呼ばれる…やたらと蜘蛛と縁の深い屋敷で、令嬢が半裸姿の死体となって発見された。蜘蛛の見立、蜘蛛というダイイングメッセージ(?)まで残し…蜘蛛の毒で殺された!?
「犬の首」
行方不明になったばかりの宮司がミイラ化して発見される。同時刻に犬が地中に埋められ、首を切られるという目撃情報まで現れた。
1本目の「鬼と呼ばれた男」を読めば…鬼丸の秘密が分かります。妖怪だとか、陰陽師だとか…変な話は出てくるが、事件はちゃんと科学的な解決を見せます。ただし…それ以外にもお楽しみが。以降…同じようなスタイルで物語は展開される。
京極夏彦の「巷説百物語」を現代風にしたような作品なのだが…あれとは逆のお楽しみが隠されている。アイデアはなかなか面白いです。とにかく、悪さをすれば成敗されるのです。
個人的採点:70点