夏と花火と私の死体 著:乙一
夏と花火と私の死体
乙一:著 幡地英昭:画
集英社 ISBN:4-08-703052-0
1996年10月発行 定価770円(税込)
乙一のデビュー作。文庫版を100円コーナーで探していたのだが、見つからなかったので、ジャンプのJブックス版を100円でGETしてきたもの。表題作ほか1本の短編2作品を収録している。
「夏と花火と私の死体」
友だちを木の上から突き落としてしまった幼い少女。二つ上の兄と一緒のその友達の死体を隠そうとする…。
色々なところで語られているが、死体になった女の子の視点で物語が描かれていくという大胆なプロットに、とにかく参りました。しかも…著者がこの本を出したときは17歳だったとか。さすがに、文章力などは近作の乙一作品を先に読んじゃっていたので…比べちゃうと拙さを感じるが、デビュー作から今の作品に通じる乙一らしさというのも感じられ、お見事でした。上手すぎる故に、オチがよめてしまうのも…乙一らしいさ(笑)
「優子」
父親の友人で物書きを生業とする主人の屋敷で、住み込みで働き始めたお手伝いの少女…主人の不可解な行動から、一度も姿を見たことがない、その家の夫人の存在に疑問を持ち始めるのだが…。
昔の怪奇小説みたいな雰囲気…表題作よりも、こちらの方が好みかもしれない。読み終わってみれば、こちらもありがちなオチではあったが…プロットの上手さで、上手く騙されたかなって思えます。
「夏と花火と私の死体」はプロローグがコミックで描かれていたり、挿入されるイラストなども、なかなか雰囲気があって良かった。
- 文庫版 夏と花火と私の死体
集英社 2000年5月発行 定価440円(税込)
個人的採点:65点