アンダー・ユア・ベッド 著:大石圭 | 105円読書

アンダー・ユア・ベッド 著:大石圭

アンダー・ユア・ベッド

大石圭:著
角川書店 ISBN:4-04-357201-8
2001年3月発行 定価680円(税込)









最近、ハマっている大石圭作品…角川ホラー文庫。大学時代の憧れの女性にストーカー行為をする異常な男の話。

大学時代に一度コーヒを飲んだ間柄だけの憧れの女性をふと思い出した三井直人は…彼女の消息を知りたくなり、興信所で行方を捜してもらう。意外と簡単に現在の居場所を突き止めた直人は…その彼女の住まいの近くに自分も移り住む。自宅に忍び込むのをはじめ、盗聴、盗撮、ストーカー行為はエスカレートしていくのだが…実は、彼女は家庭内暴力に遭い、夫の暴力に脅えながら暮らしていたため…昔の面影とは程遠い容姿をしていた。それでも彼女を見続ける直人…。

ストーカーという、いかにもホラー的題材ではあるが、今まで読んだ大石作品に比べると…ホラー的なグロさは低かったか?確かに、片想いの女性に…ここまで執着する異常な心理に怖さは感じるけど、この主人公に似た感情って自分たちの中にも多少ありそうだから…異常な行動の全てを否定できないんですよね(笑)子供の頃の初恋の思い出みたいなのを自分もふと思い出してしまった。いや、こんなヤバイ男にはなりたくないけど…理解できなくもないと。人間って一歩間違えると、こんな風になってしまうかもしれない。

「湘南人肉医」「自由殺人」と過去に読んだ大石ホラーと比べるとインパクトは薄かったが、主人公にストーカーされる女性が、夫にDVで痛めつけられるエログロバイオレンスだとか…とってつけたような第三者の殺人事件とか…大石圭らしさはしっかり描かれている。変態なんだけど、どこか愛らしさも感じる主人公。物凄く残酷なのに、ハッピーエンドなのか?と思ってしまう不思議な余韻を醸しだすラストと…やっぱり大石作品特有のテイストが詰まっていて面白く読めたのは確かだ。






個人的採点:65点