ニッポン泥棒 著:大沢在昌【新刊購入】

大沢在昌:著
文芸春秋 ISBN:4-16-323630-9
2005年1月発行 定価2,000円(税込)

何日か前に読み終わっていたのだが…なかなか書き込みができなかった。
久しぶりに新刊で購入した大沢在昌の「ニッポン泥棒」。現実の世の中でも、ネット社会の発達が、逆に犯罪の増加へと繋がっている今日だが、普通の人間が唐突にネット犯罪に巻き込まれていくという恐ろしさを…ハードボイルドサスペンスとして上手に読ませていく。
妻とは離婚…勤めていた商社は倒産し、ハローワーク通いの初老の男の元へ1人の若者が訪ねてくる…あなたにとっても、世界にとっても大事な用件があると…。諜報機関から盗み出された極秘データをもとに作られた、未来を予測できる驚愕のシュミレーションソフト「ヒミコ」…男は自分の知らないうちにそのコンピューターソフトを動かすためのキーに選ばれていたのだ。諜報機関が入り乱れ、騙し騙され…「ヒミコ」を巡る争奪戦が始まった。
元商社マンのオヤジ…いや、普通のじーさんが、日本を守る、世界を変えるという、老人パワー炸裂な物語です。とにかくこのじーさん、カッコよすぎる。スパイ相手に、サラリーマン時代に培ってきた交渉術で渡り歩こうとするんだから、只者じゃない!仕事人間のように思わせておいて…昔の愛人とか出てくるからカッコイイ。もし実写化したら、山崎努あたりが似合いそうなキャラクターだ。
魅力的な脇役の配置もお見事…怪しげな革命家崩れのハッカーのオヤジとか、主人公と一緒にソフトの争奪戦に巻き込まれてしまった水商売のおねーさんとか…他にも正体がなかなかつかめない怪しげな奴らがゾロゾロ出てきます。
ジジィが頑張るハードボイルドということで、大沢在昌自信の「流れ星の冬」を思い出す。
個人的採点:75点