僕と先輩のマジカル・ライフ 著:はやみねかおる
さすがに青い鳥文庫は読んだことないのだけど…講談社ノベルズや、コミック化された少年名探偵虹北恭助シリーズはいくつか読んでいる、はやみねかおるの作品。「ササメケ」「パンテラ」のゴツボ×リュウジのイラストが、なかなかいい感じだ。
井上快人はこの春合格したばかりの大学生。彼を慕う幼馴染で、霊能力者の春菜は、大学まで同じにして、いつも一緒につきまとう。親の援助を一切受けずに、一人暮らしを始めるため、安い家賃の下宿先を探していた快人…一ヶ月1万円で借りられる格安の物件を見つけるのだが…安いには何かわけがあるらしい。偏屈な、下宿人にたちに囲まれて新生活をスタートさせる快人であったが…その中でもずば抜けて奇妙キテレツな先輩、長曽我部慎太郎の出会いが、彼の大学生活にどんな影響を与えるのか?春夏秋冬を通して彼らが遭遇する…摩訶不思議な事件の数々とは…?
霊能力者の幼馴染に、オカルト好きの先輩という…ファンタジック、オカルティックな設定があり、騒霊、地縛霊、河童、木霊というそういう路線の事件が起きるのだが…ズバっと論理的な解決を見せるあたりは、推理小説として充分楽しめる。死人も出ないし、全然陰惨な事件は起きないのは…この作者らしい。ほのぼのしていて、子供でも読みやすい。主人公を大学生に設定したので…今までの作品よりも大人が読んでも楽しめる作風になったのが、良かったと思う。
やはりシリーズ化でも目論んでいるのか、キャラクターの細かな生い立ちや、主人公たちが加入させられる“あやかしい研究会”の実態を明らかにしていないのが、ちょっと物足りない感じだ。
個人的採点:60点