エーガ界に捧ぐ 著:中原昌也 | 105円読書

エーガ界に捧ぐ 著:中原昌也


エーガ界に捧ぐ

中原 昌也
扶桑社 ISBN:4-594-03948-0
2003年4月発行 定価1,500円(税込)









久しぶりの書き込みだ。とにかく、1週間ほど、小説を読んでいない。そのわりに相変わらず…色々と衝動買いはしていたのだが、整理も面倒なのでそのうちにまとめてやろうと思う。

ようやく1冊読み終わったのが…ちょっと前に購入した「エーガ界に捧ぐ」という三島賞作家・中原昌也氏が雑誌に連載している辛口な映画コラム(?)の単行本である。噂によると、近々文庫版も出るとか聞いたのだが、定かではない。自分は相変わらず105円で入手したものだ。

雑誌掲載時に話題になっている映画と、過去のソックリな映画(その時によって内容が似ているものから、タイトルしか似ていないものまで千差万別だが)を比較しながら紹介していくといった趣旨だったはずなのだが…全くお題の映画を語っていないときまである(笑)

自分がいかに貧乏作家かとか、どこどこの映画会社が試写状送ってくれないだとか…愚痴もいっぱい書いてある。文章がノッている時は…本当に紹介している映画がどれほど面白いモノかとよく伝わってくるのだが、その逆に…何を語りたいのだか支離滅裂なときもある。後半になるにつれ…映画評というよりは、中原昌也という人の精神状態を観察しているような気分になってくる。作家さんが文章を生み出すのが、いかに大変かというのが、ひしひしと伝わってきましたです。

連載100回分なので、合計200本の映画が紹介されている計算になる。映画評というと、この間、井筒和幸の「こち虎自腹じゃ!」を読んだのだが…年代がこちらの中原氏の方が近いせいもあるのか、割と映画の好みは…こちらの方がシンクロ率高し(笑)彼が誉める映画、貶す映画の好みが意外と自分とマッチしていた。だから自分が知らないような作品を持ち出すときは、かなりその映画に興味がわく。

井筒和幸の辛口映画評以上に…読む人を選ぶ映画評で、誰にでもお薦めできる本では決してない。ただ、自分はわりと面白く読めた。

合い間合い間に…作者の中原氏と、作家、イラストレーターといった業界人との対談も収録されており、それらがいい箸やすめになる。






個人的採点:65点