アホか、お前ら! 著:井筒和幸

井筒和幸:著
徳間書店 ISBN:4-19-861795-3
2004年2月 定価1,260円(税込)

週刊アサヒ芸能で連載された、映画監督の井筒和幸による、毒舌エッセイをまとめたもの。ちょうど、1年くらい前に発刊されたものなので…話題的には更に1年遡って2003年1月頃のものからスタートしている。
前に紹介した映画評「 こちトラ自腹じゃ 」同様…映画業界からはじまり、明石家さんま、松嶋菜々子、果ては小泉さんやブッシュさんまで…芸能から国内外の政治ネタまで、いつもの調子でオッチャン吼えまくり。
“ギター侍”なんて目じゃないくらい…斬って、斬って、斬りまくる。
バカ話しながら、バカにも分かるように…世の中の出来事を語っている。
井筒和幸のことを…ただの毒舌コメンテーター、“自分の映画が面白くないくせに、人の映画を批判するな”って思っている人には、はっきりいって向かない読み物でしょう。
確かに、芸能人についての悪口書いてるところは…その芸能人のファンから見れば、辛口すぎる…“お前に言われたくないねん!”って思うかもしれないけど…逆に本を読みながら、“よく言った!”とうなずいてる人も多いのも事実なのだ。そういった、言葉に出さないだけで、世間の皆は思っているぞってことを平気で書いてくれてるから気持ちがいい。
その証拠に…1年前の古本だからこそ…この毒舌オヤジが書いた与太話が、今では現実になっているってこともあるんだ(笑)
おっちゃん曰く“松嶋菜々子が歩く官能グラビア”だというのが、読み終わっても、頭から離れない…。出産後も爽やかママ系で上手に芸能活動を続けている松嶋菜々子をつかまえて、“エロ”と、この人が言い切ると説得力がありますね。そっかー、松嶋菜々子って、爽やかでも、癒し系でも、演技が上手いからでもなく…“エロ”だから人気があったんだ。これから見方が変わりそうです。そういえば…ちょっと前に流行った某お茶のCM、確かにエロさがあったなぁ。あのCMを演出した人は、ちゃんと松嶋菜々子のエロを見抜いていたんだ。やっぱ、おっちゃんの言うことは正しいんだ。
この毒舌パワーをもう少し映画のほうで発揮できれば、マイケル・ムーアなんかに負けない映画ができると思うのだが…。昔は「ガキ帝国 」なんて傑作を撮った凄い監督だってことを忘れちゃいけないよ、やっぱ。あの映画を撮った人だったら…これだけぎょーさん毒舌はいても許せますね。最後は書評ではなく、映画評になってしまった感じだが…。
そんなことで、新作の「パッチギ!」は久しぶりに期待が膨らむ!
個人的採点:75点