姉飼 著:遠藤徹 | 105円読書

姉飼 著:遠藤徹


姉飼

遠藤徹:著
角川書店 ISBN:4-04-873499-7
2003年11月 定価1,260円(税込)









第10回日本ホラー大賞受賞作…表題作を含む短編4作品を収録。巻末には、荒俣宏、高橋克彦、林真理子ら選考委員によるホラー大賞選評が掲載されている。


姉飼
子供の時に縁日の的屋で、串刺しにされている“姉”たちに魅せられてしまった主人公。その後の人生に大きな影響を与える。人間という生き物は自分の煩悩に打勝てずに、こうして身を滅ぼしていくということを、こういった怪奇な物語を通じて、読者に語りかけているのだろうか?説明的なものがかなり省略されているので、かえって想像力を働かせてしまう。とにかく不気味な作品。


キューブ・ガールズ
賞味期限がきたら捨てられると裕也に告白された亜矢乃。「亜矢乃は、その、商品だったんだ」…パソコンから情報をダウンロードし、ジャンルを選択。お湯をかけると、自分好みの女の子があらわれるとい…“キューブ・ガール”。つまり未来のダッチワイフのお話だ。ブレードランナーのレプリカントを思い出す、儚い物語。4つの物語の中では、一番、分かりやすかった。ただし、相変わらずこの作者は何を考えているのか…。


ジャングル・ジム
毎日、毎日…変わらない日常の風景として、そこにあり続けていた、居続けていた“ジャングル・ジム”が、ひとりの女性に出会ったことから世界が一変していく…。これも、きっと何かの喩えなんだと思うのだが…。恋愛というものが人を変えていく。考えが自己中心的になり、周りが見えなくなる。知らず知らずに他人に迷惑をかけてしまう。相手を束縛したいという欲求にかられるが、上手くいかない。そして…最後には女は魔物だといいたいのだろうか?自分には、そんな解釈しかできなかった。これが正しいかはわからない。


妹の島
フルーツに埋もれて見つかった長男の生首…ハチの大群に刺されて死んだ四男。復讐を企てる使用人に脅える、二男と三男。果樹園の主である父親は…ハチに刺されることで快楽を味わう特異体質だった。ストーリーを上手く説明できないほど、奇妙な物語。最初こそミステリータッチな内容で幕をあけたのだが…。単純な復讐劇と受け取っていいものなのだろうか…。4つの中で一番、受け付けがたい作品だった。


ほとんどの作品で、男が女性をもてあそぶという構図が見受けられ、それを非現実的な不気味な世界観で見せようとする作品ばかりだ。女性にはあまり読んで欲しくないな~なんて思うのだが、どうなんでしょうね。下品で、不気味で、意味不明なんだけど…物語の先が、つい気になってしまう。たまには、こういったゲテモノもいいかもしれない。ただ、続けて同じような本を読みたくはない。






個人的採点:55点