ミラクル 著:桜井亜美

桜井亜美:著
幻冬舎 ISBN:4-344-00364-0
2003年7月 定価1,470円(税込)

昔、映画化された「イノセントワールド」を見たことがある程度で桜井亜美の小説を読むのは初めてだ。
心臓を患って入院中の弁護士イブキは美人看護婦のセイラと出会う。男のみならず、同性からも羨望の眼差しを受ける…美貌と優しさを兼ね備えた彼女には裏と表の顔があった…。医師や患者を虜にし、同僚のナースとも同性愛の関係を結ぶ…。更に彼女が過去に勤めていた病院で、担当した患者が不審死を遂げていたのだ…。
あらすじを読むとサスペンス・ミステリーっぽいのだが、ジャンル的には恋愛小説になるらしい。確かに、最後まで読むと、恋愛小説だなって納得できる。
「氷の微笑」のシャロン・ストーンを彷彿とさせる魔性の女だが、この小説に出てくる“セイラ”は…裏表の見た目のギャップがもっと激しい。少女的なか弱さみたいなものが垣間見えるところなど…実際にこんな女がいたら、自分も騙されそうだなぁという風に…男から見ると官能的なエロチックさを感じる。
恋愛小説といっても、ベタベタしたものじゃないので男の自分が読んでも物語として楽しめる。初めて読む作家だったので、けっこう新鮮味のある文章ではあった。ただ…イブキとセイラの描写はわかりやすく最後まで描かれていたが…脇役として登場した、同性愛のナース、手玉にとだれた男たちはどうなってしまったのかが、読み終わっても非常に気になる。想像で補うのも、こういう作品の楽しみ方ではあるが、もう少し詳しく描いてくれたら、もっと面白かった。
個人的採点:60点
今日の105円GET
横山秀夫「真相」双葉社 2003年6月 定価1,785円(税込)
日向まさみち「本格推理委員会」産業編集センター 2004年7月発行 定価1,155円(税込)
昨年、買い逃して、読みたかった作品。ちょっと優先して読んで見たい。
中原昌也「エーガ界に捧ぐ」扶桑社 2003年4月発行 定価1,500円(税込)