狼の寓話 南方署強行犯係 著:近藤史恵

近藤史恵:著
徳間書店 ISBN:4-19-850614-0
2003年10月発行 定価860円(税込)

近藤史恵の作品を読むのは2冊目だ。過去に「青葉の頃は終わった」といミステリータッチの青春ものを読んだことがあるのだが、今回は本格的な警察ミステリー。裏表紙には、推理作家の有栖川有栖の推薦文が載ってるのが…購入の動機でもある。
刑事課に配属されたばかりの新人刑事が、ホステス殺しの初現場で大ドジをかましてしまう。被害者の死体と対面して失神したり、鑑識が見つけた証拠品をシャワーの水で流してしまったり…。この事件の担当を外されて…捜査課のお荷物、偏屈な女性刑事が一人で担当している、旦那殺しの妻の行方を捜すという、地味な捜査にまわされてしまうのだが…。
新人刑事がドジを踏むなんて出だしは、この間読んだ「眼球蒐集家」という作品に似ていた。章ごとの冒頭に挿入される…奇妙な童話が、事件の謎を解く鍵となっている。
女性作家らしい視点で、DV(ドメスティックバイオレンス)を絡めてくるなど、テーマは意外とシビア。大阪を舞台にしているので、キャラクターは意外とユーモラスに描かれている。
個人的採点:65点