最初、プログラムで
「鏡の中の自分に話かける」と、
聞いた時に感じた事は、
「そんな子供騙しの方法で、長年苦しんだ自己嫌悪が消えるものか!」
という怒りでした。
馬鹿馬鹿しくて、呆れもしました。
しかし、その馬鹿馬鹿しい方法に、
私は救われました。
1.実践した経緯
最初、あまり気乗りしなかったのですが、
もう
「自分を受け入れる方法」が手詰まりになり
「藁をも掴む」思いもありました。
しかし、なかなか
「やってみよう」という気になれません。
それでも、やってみる気になったのは、
ふと、
「皆さんは、
自分には厳しいのに、
他人にはとても優しいですね。」
という、
スタッフの言葉を思い出したからです。
それは、私達、
リワークに参加していたメンバーへの言葉でした。
「鏡に映る自分を、
他人だと思って話しかければ、
自分に優しい言葉を言えるかもしれない」
そう思いついたのです。
お酒を飲んで、
少々「躁」になっていたのが幸いで、
多少馬鹿なことも平気になり、
だんだん
「うまくいくかもしれない」と思えてきました。
元々、普段は鏡を見ない性分で、
たまに見ても、
「しかめっ面」や
「目が笑っていない笑顔」
しか、
見たことがなかった私にとって、
その夜、鏡に映った自分の笑顔は、
衝撃的でした。
自分は、
こんなに優しい顔で他人に接していたのか!?
試しに、「どうした?」と問いかけてみました。
後は自動的に、
他人に普段かけている
「励まし」や
「慰め」の
言葉が、次々と出てきました。
お風呂場の鏡を使ったので、
自分の言葉が反響して、別人の声に聞こえました。
そして、
生まれて初めて、
理解してもらえる喜びと、
自分の言葉が伝わったという喜びが、
同時に襲ってきたのです。
その快感は、かつて味わったことが無いものでした。
一時間は、話し続けていたかもしれません。
その間、笑いが止まず、話しを止めることもできんでした。
最後に
「お前が大好きだ」と、
鏡の中の自分に言うと、
それで納得したのか、やっと鏡の前から離れることができたのです。
2.発展する鏡
思い返す度、
未だに響く喜びの余韻を使って、
「鏡無しでも、できないだろうか?」と
思いつき、
試し始めました。
元々、リワークでの
認知行動療法や、
メタ認知トレーニングの
プログラムで覚えたことは、
「何時でも、何所でも、誰といても」
できるように、
変形させて使うようにしていました。
歩きながら、
電車の中、
仕事場で、
他人から
「多少違和感を覚えるが、追求するほどの事ではない」
程度の動作に、
変形させるのです。
無精者の私には、
改まって行うより、
その方が、継続できると思っているからです。
今では、すっかり身について、
自己嫌悪の気配がすると、
自動的に自分に優しい声をかけられます。
長年の自己嫌悪地獄から、
やっと解放されました。
3.効果があった背景と導入前の準備について
できれば、
自己嫌悪に苦しむ人に、この方法を勧めたいところですが、
今回私に効果があったのは、
タイミングが良かったからということもあると思います。
その条件とは
(1)それまでのリワーク等で、メンバーに恵まれて、
お互いの良いところを
素直に言い合えたこと。
(そのことで、
「もしかすると、自分にも良いところがあるのかもしれない」と
思えるところまで、
自分を褒める言葉に
馴染んできていた。)
一概には言えませんが、
私をはじめ
自己嫌悪に陥る人は、
自分の長所を、
当たり前で誰でもできる事だと、
思っているように見えます。
そして、
自分に向かない長所を、求めてあがいているのかもしれません。
その時の私は
「自分が病気になるまで自分を追い込んできたのだから、
身につくものは、既に身についているし、
それでも身につかないものは、
自分に向いていないのだ」と、
思えてきた状態でした。
また、
自分で気づいていなくても、
無意識に長所は働くのだと、
信じることができるようになっていました。
それは、
他のメンバーが、
継続して褒めてくれたからだと思います。
(2)自己嫌悪から逃れる方法が見つけられず、手詰まりになっていたこと。
先に述べたとおり、
「どんな馬鹿なことでもやってみよう」
という状態でした。
(3)お酒のおかげで、「躁」になりかかっていたこと。
(4)他人に接するがごとく
自分に接してみたこと。
他人の長所は
簡単に見つけることができるのに、
自分の長所は見つけることができませんでした。
そこで、
鏡に映った自分を
他人に見立てることができたのが、
良い結果を生みました。
以上が、
今回効果があった要因ではないかと、自己分析した結果です。
この条件が整ったタイミングで使ったから
効果があったのかもしれません。
逆にタイミングさえ合えば、
別の方法でも有効だったのかもしれません。
そういう意味では、
色々な手法を紹介して
トレーニングする、
メタ認知療法に
出会えたことは、
本当に幸運でした。
また、上記要因の中でも特に大切だったのは
(1)の
褒めてもらい続けたことです。
メンバーには本当に感謝しています。