観てきました。

キムタク主演ということで間違いないだろうと。

120分に満たない映画で、あっという間でした。

集中して観れるというか、退屈させないつくりで、一言で言えば観やすい映画であったと思います。

 

本編は倍賞千恵子演じる高野すみれの過去を振り返りながら目的地へと向かう筋立てですが、思ったほど横断的な一代記的な振り返り方ではなく、ある程度成年記といいますか婚姻前後に絞った描き方になっていました。

昭和の女性地位への言及がたびたびあって、もっぱら女性の地位が現在に比して低い、あるいは不利であったという論調のようです。

昭和については、その時代を生きた人間の私見ということで、そういう方向に振ってようですが、昭和にいい所もあったとかで、何やら人びとが生き生きしていたというような触れかはとってつけたようで、ちょっと引っかかりましたね。

等価だと思います。

今も昔も。

その時代というか、それが未来から見れば過去で、過去から見れば未来という時間軸の中で生きていくわけですから、とりたてて悪い面を取り出しても、同じ位良い面もあって、ひとえにいい悪いは言えないというわけで。

夫婦関係でいえば今と比べて悪い面があったとして、夫婦関係でいえば昔と比べて悪い面があるともいえてしますわけで、詰まるところ、そういう論点の対消滅的に他件を持ち出してもしょうがないといいますか。

ちょっと小難しいですが、そこは気になりました。

だから私見とうか個人の体験に根差す話として聞いて、時代それ時代に対する評価は端的に過ぎるのではないかと。

今の時代もそういう風に処されていくのでしょうから、それはそれということで。

 

ストーリー運びとしては、主人公の家族模様をバランス良く配していて、非常に見やすかったです。

緩急の妙といいますか、喜怒哀楽に偏重しない作りは中々のものではと。

ただ車内劇自体の画角作りには苦労しただろうなと思います。

車窓やロードムービーでは手数に限りがありますし、それよりもレストランでの会話の方が、一段質が高いのはやむを得ないところで、痛しかゆしと言いますか。

 

さてもうひとつ。

陰惨な夫婦生活というビジュアルもありましたが、逆に描かれなかったのが、収監の描写。

不思議とこれがなかったのですが、これ意図的だと思います。

というのも、キャラクタイズされているとは思いますが、目的地たる高級老人ホームのあり様がどう見てもネガチブで、描かれなかった監獄の代替描写ではないかと思いました。

とりわけスタッフの対応はどうですか、どうなのと。

むしろ息子の葬儀に看守が付き添うことで出席はできるというような温情描写の方がかえって人情味があるのは皮肉なんでしょうか。

意図はわかりませんが、そういう形で収監描写を行うのは、ちょっと唸りますね。

夜間というビジュアルもあるんですけど、スタッフの口から集団生活なる言葉が出た際には、ちょっと引きましたね。

それが現実だとして、それならもう少し前後にゆすってほしいところです。

昭和の論評もそうですが、紋切り型に過ぎますね。

 

ただ、夜間において風に揺れる木々の葉、その音の描写は良かったです。

ここは映画的というか、それなりにリソースを注いでいかないと作れないと思いますから。

夜間という光量が絶対的に制限されるシチュエーションでやってみせるわけですから、サービスといえばサービスカットですね。

相対的な日中の描写では風が印象的にインサートされていましたから、そこから着想を得ていったのかもしれません。

一瞬の光芒と言いますか、映画の面白さの一つだと思います。

 

わらしべ長者的なシメはあれでいいと思います。

それこそ昭和の一つの精神性を体現しているという意味で、象徴的だといえるのではないでしょうか。

 

感想はこんな感じです。

映画としてのエッセンスはともかく、テレビドラマ的な見やすさに振った作品といえ、かえって語りづらい作品ではありました。

 

優香の魅力、もう少し引き出せなかったのかとは思います。

そこだけ終始気になりました。