トキは宿を出て、東に向かって歩き出した。

(トキはまた間違えて西へ向いていたが、宿のおばさんが正しい東の方向を教えてくれたのだ。)

「もう!ホントにトキは駄目ね~」

キラがバックの中から顔を出した。

「お日様が出てくる方に行けばいいのよ!」


東雲(しののめ)の空。

もうすぐ、夜が明けようとしていた。

アラバスを象徴する赤い旗がまた、トキを出迎えてくれていた。

城壁を守る門番に開門を頼むと、門番は快く聞き入れてくれた。

「こんな時間に、子供一人で大丈夫かい?気をつけるんだよ」

優しい門番は トキにパンと水筒を手渡してくれた。

「ありがとうございます」

トキはお礼を言うと門を通った。

ギシギシと音を立てて閉まる門――と、その時

「待てよ。俺を置いていく気かよ?」

聞き覚えのある声。

振り向くと、大きな門を片手で押さえながらこちらを見る男が。


「クラウドっ!?」

トキは思わず声を上げた。

どうして・・・


この時、トキは自分が驚きと喜びの入り混じった表情でクラウドを見つめていたことに気付いてはいなかった。

                                                     蓮



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――ガチャ


「ハァ~ おねーさん、俺もう飲めねーよぉ」

「ヒック・・・私はまだまだイケるわよ~ 締めのポロムジュースがまだだもの」

見事に酔っ払ったクラウドとキラが帰ってきた。

かなりの量の酒が入っているようで、近づくと酒臭さが鼻につく。

二人を部屋まで運んできてくれた宿のおばさんにお礼を言うと、

トキは、おばさんに代わってクラウドの腕を肩に回した。

「うぅ~」

一体どれくらい飲んだんだろう。

こんなになるまで・・・世話の焼ける人だな。

トキは呆れながら、ゆっくりベットまでクラウドを運んだ。

ボフッ

ベットに横たわるとクラウドは寝息を立てて眠りだした。

キラはピョンとトキの手に乗る。

「クラウドも、まだまだね~!二人で酒豪バトルしたんだけど、私の圧勝だったわ!」

威張ったキラからも、結構な酒の匂い。

「キラ、飲みすぎだろ?」

「大丈夫! ”酒に別腸あり” って言うじゃない」

それにしても、キラの小さな体に入る酒の容量は少ないと思うのだが・・・



――と、トキはリザのことを思い出した。

幸いキラはまだ正気だったし、早いうちに出発したかった。

「キラ、急な話だけど。すぐにこの国から出ようと思うんだ」

「え~!今から!?明日じゃダメなの?」

酒の入ったキラはいつも以上にハイテンションで駄々をこねる。

「夜中の内に出発しないと、キラ、干からびるよ?」

何せ、トキがこれから向かうのは砂漠の真ん中。

日中は光線が地を焼き、気温は40度近くにまでなる。

とても長時間歩き続けられる環境ではない。

「砂漠ぅ!?また、どうして急にそんなトコ・・・」

トキに手渡された水を飲み、酔いを醒ましながらキラが言う。

すると、トキは遠くを見つめながら答えた。

「さっき、会ったんだ。あの人は多分・・・本当の”魔女”」

キラは首を傾げている。

「砂漠の魔女、本当にいたんだ」

トキはそう言って、窓から外を見た。

乾いた風が優しくトキの頬を撫で、窓辺の布を揺らした。



                                               蓮



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こんばんは!お久しぶりです。

今日やっとテストが終わりました。


少し 気疲れしてます~


でも、最近応援メッセージやコメントを沢山頂いて

Dragon★Rabbitのやる気もUPしてます。

読者様に感謝です。ありがとうございます。


そろそろ、梅雨も明けて。夏、到来ですか。

私たちも一層気合と愛を込めて更新していきますね。


それでは、これからもドラ★ラビをよろしくお願いします(ぺこり)


                                                 


~追伸~

クロニクルの、更新を止めていたのは蓮です;;

お待たせしまして、すみません。

読んでくださっている方がこんなにいらっしゃるとは思ってもみませんでした。

俄然やる気が出てます♪

近々UPしますので、よかったら読んでやって下さいね。


次回予告。

魔女祭は終わりを向かえ、トキはリザの元へ!

リザの正体とは!?     

               

 はい。ベタに煽ってみました^^     それでは~       

                                                       蓮

はじめまして 『ドラ★ラビ』の沙粋です


まさか初めての顔出しがこんな形になるとは思っていませんでしたが

読者の方々に『お詫びとお知らせ』があります


《お詫び》


クロニクルを連載を始めてもうすぐ3ヶ月になりますが

最近 更新頻度がすごく遅いです

それについてお詫び申し上げます

なぜ 更新が遅いのかと言いますと

実は『ドラ★ラビ』メンバーは全員学生なんです

そして、只今テスト期間中なのです

その都合上どうしても更新が遅くなってしまっています


更新を楽しみにして頂いている読者さんには本当に申し訳ないです

しかし 連載を打ち切ったりすることは絶対にありませんので

安心していてください



《お知らせ》


もうお気づきの読者さんもいると思いますが

最近卑弥呼様がめっきり姿を現していません


なぜかと言いますと卑弥呼様は忙しくて

どうしても執筆する暇が取れないとの事でお休みしています

もしかしたら また戻ってきてくれるかもしれないのですが

今のところその予定はありません



++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++



8月から夏休みに入るので頑張って更新していくつもりです

読者の皆様には本当に感謝しています


まだまだ未熟な文章ですが一生懸命頑張りますので

これからも応援よろしくお願いします


「君はなぜ旅をしてるの」

それは、リザからの突然の問い掛けだった。

「なぜって、それは・・・・・」

トキは言葉に詰まった。トキ自身、その問いに対して明確な答えを持ち合わせていなかったのだ。

ただ旅することを決めた時は、夢我無中で居ても立っても居られなかった。本当に、それだけだった。

だから、今もトキの心はどこか不安定で触れられることを拒む―――


どこか思い詰めたようなトキの表情を見て、リザはトキの頬に自分の右手で触れた。

そして、少しだけ驚いて口を開いた。

「君はまだ子どもだから、こんな話をしてもわからないかも知れない。

けれど、いつかわかる日が来ると思う。だから心の片隅で覚えていて」

トキは何のことだか全くわからなかったが、黙ってリザの話を聞いていた。

「例えどんなに強い力を求めても、その源が憎しみや怒りだけなら、それは脆く簡単に壊れてしまう。

真実の強さを求めるのなら、君は本当に大切なことに気付かなければならない」

なぜか核心に触れられるような言葉にトキは息を呑んだ。そして、目線を落として言った。

「どうして、そんなこと僕に言うんですか」

リザは少し考えていった。

「そうね。私はきっと君に同じ過ちを繰り返して欲しくないのよ」

そう言った彼女は悲しげな瞳をしていた。

そんな彼女を見て、トキは聞きたいことがあったがうまく言葉に出来なかった。


「さて、私はもうそろそろ帰るわ」

ベンチから立ち上がり、トキに背を向けた。

「あのっ、リザさんあなたは一体」

ざわっ―――

その時ひとすじの風が二人の間を吹きぬけた。そして、薔薇の香りが舞った。

雲がちょうど月の上にかかり、二人は闇に包まれた・・・


「私の事が知りたいのなら、砂漠の真ん中へいらっしゃい。あなたならきっと見つけられるはずよ。

それから、一つだけ覚えておいて世界は目に見えることだけが全てではないって事を」

そう言って彼女は闇の中消えて行った。


トキはハッとした。そして、立ち上がり彼女を追いかけようとしたがもうその姿は何処にもなかった。


「やっぱり、生きていたんですね―――」

そう言ったトキの表情はどこか切なげだったが、その瞳には光が満ちていた。


トキは宿に帰って、荷物をまとめた。キラが帰ってきたら、すぐに出発できるように。

トキの心の中は、リザの事でいっぱいだった。そして、砂漠の真ん中でもう一度彼女に

会うことができたなら聞きたいことがたくさんあった。本当にたくさん・・・


―――窓を開けてみると、月は沈みかけている。やわらかい風がトキの髪をなびかせた

少しだけ薔薇の残り香を感じた。ゆっくりと瞳を閉じ、そして少しだけ昔の事を思い出していた


   by 沙粋



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