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訴訟法はあまり基本書で薄い本がないので、予備校本から。(560頁、本文454頁、ソフトカバー。)
呉シリーズは特色として、一人の著者が書くことでシケタイにある学説羅列によるわかりにくさを解消していること、赤枠で囲んだ部分に著者の説明があり、試験で答案を書く時の注意点が記載されていることがある。予備校本らしいわかりやすさを追求したテキストといえる。なんとなく伊藤塾シケタイの弱いところから出版しているのでないかとも思われる。
特に著者の見解を示しているところは論文答案を写経していても理解に至らないところを補完するものとして初学者、中級者向けには理解の助けになる。この著者の見解部分は基本書にあまりない特色で試験対策としてのニーズに応えることに成功している部分だろう。
また、巻末に論証パターンがあるが、本文記載のうち重要論点についてまとまっており、典型論点はどこかという点を簡単に見渡す点で役に立つ。ざっと論文対策として見直したい時に論証パターンがあると早く見渡せるので便利である。
本文は全体的にそのまま論証で使うくらいのあっさりしたものであるが文字が大きく余白を多く取る体裁である。書き込みは相当できる。また、判例と異なる説を取る場合でも本文では判例を紹介した後とっていること、全体的な記載も判例からの帰結も示しており、判例の考えで理解しても使えるようにはなっている。
一方で、論証自体につき、判例は示しているものの、伊藤塾の典型論証パターンで書かれているところも多いので、判例を元にした理解をしたい場合や酒巻連載や古江演習本を踏まえた論証をしたい場合、大幅に改変する必要がある。
また、囮捜査など理由付けが欲しいと思うところで理由が無いことや、伝聞法則の要証事実の記載の薄さなど新司法試験の傾向を踏まえた記述でない印象もある。
全体的な感想としては、伊藤塾テキストより読みやすさはあるので通読には向くが、他のテキストなどから書き込まないと使い勝手は良くない印象。択一対策として手続きは全体的に記載しているので、書き込んで補完すれば、アルマやリークエを除いた場合のソフトカバーのまとめ用の本として使えるか。