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包丁をリユースしよう <包丁買取ショップ アールイー>

包丁買取ショップ アールイーのブログです。包丁について・買い取りについて・ショップについてなど様々な情報を発信していきます

年間に数百本ほどお取引きさせていただいておりますが、お持ち込みいただく包丁の大半は一般的な和包丁や洋包丁です。

和包丁は霞の刀身で朴柄、洋包丁はステンレスの牛刀やペティナイフといったところです。ですが、『これ一本30万円で造ったんだよ』とか『特注で造ってもらったから50万くらいだったかな??』なんて話も聞くことがあります。
長年板前さんをやられている方なら珍しい話ではありませんが、一般的な家庭用包丁の価格から見ると非常に高価です。

そもそも有名な包丁メーカーの和包丁は高価ではありますが、ショッピングサイトで探してみても数万円~十万円程度が相場でしょうか、何店舗かインターネット販売をされているお店を挙げてみます。
築地 正本
築地 有次
築地 子の日

ではなぜ高額になるかというと、既製品ではなく発注されたのちに造られるオーダー品と言うこと他になく、オーダーされた方のために職人さんが造り上げるというところにあります。これは包丁に限らず、他の製品にも言えることなのでそんなに驚くことでもありません。

また既製品の価格の数倍高くなる要因としては、その他装飾や付属されるものがあります。
前回のブログでも書きましたが、黒檀の柄は一般的なクラスになり、黒檀でもより質の高いものを選択したり、鞘も黒檀で合わせ統一感を求めたりします。その他、角巻には希少でより高価な象牙や瓶を、または刃に珍しい波紋を入れるなど、装飾すればするほど高額になる、と言っても過言ではありません。

そのような包丁は、やはり道具としてのそれを超えてしまい、芸術品などのように所有していることに価値があるものとなっているようです。
『オーダーして造ったけど使えない(泣)』や『きれいすぎて使うのが勿体ない(汗)』、『今後使うこともないだろう』など、お買取りの際には悲しい声を聞くこともよくあります。

家庭用の三徳包丁もウン十万の高価な包丁も、道具としては食材を切るものではありますが、高級和包丁にはまた別の価値があるようです。

特注品 柳刃包丁 柳刃包丁 尺三 水焼本焼 富士波紋 銀巻黒檀柄
特注品 柳刃包丁 尺三 本焼

雲龍國行 先丸蛸引包丁 尺二 青本焼 銀線入り黒檀柄
雲龍國行 先丸蛸引包丁 尺二 本焼

子の日 先丸蛸引包丁 尺 水本焼 銀線入りデュポンコーリアン(人工大理石)柄
子の日 先丸蛸引 尺 水本焼 大理石柄

和包丁は『調理する』といった道具としての明確な目的がありますが、ただの道具としての価値だけではなく、様々な装飾により大きな付加価値を持つものもあります。

よく装飾される部分では『柄』が挙げられます。
様々な形状・材質があり、組み合わせも含めると種類は多種多様、自分の好みや予算に応じてカスタマイズされている方も少なくありません。

よくある白っぽい木の柄は、『朴(ほお)』という木材で水に強く耐久性があります。また刃との接合部分に水牛角巻をあわせたものが、ごく一般的な組み合わせの朴水牛角巻柄となります。

ではその他代表的な装飾をいくつか挙げてみます。
1. 黒檀柄
深いこげ茶色が特徴の黒檀ですが、堅く重量のある木材で、高級な柄の代表とも言えます。
触っても感じられるくらい密度が高く、水に強く包丁には適した木材です。
2. 花梨柄
赤茶系の色で、華やかな印象がある木材です。中には瘤(こぶ)と呼ばれる独特の模様が見られるものもあります。
3. 銀巻
刃との接合部分や柄尻などに、純銀をあしらう装飾です。
4. 象牙巻
刃との接合部分や柄尻に、象牙をあしらう装飾です。
5. 鏡面仕上げ
刃の平、または全面及び両面を鏡のように磨き上げます。
6. 彫刻
刃に龍や言葉などを彫刻します。

その他、様々な素材や装飾方法でオーダーを受けていることがあります。
自分の好みであつらえた包丁は一生ものになること間違いありません。

水牛角巻銀線入り黒檀柄
銀線黒檀柄

水牛角巻銀線入り花梨こぶ柄
花梨銀線柄

銀巻黒檀柄
銀巻黒檀柄

象牙巻銀線入り黒檀柄
象牙銀線黒檀柄
包丁はパッと見ただの金属のかたまりのように見えますが、実は和包丁の製造にはたくさんの時間や工程、また職人の技術が盛り込まれた『汗と涙の結晶』となっています。

包丁の製造方法は大きく分けてふたつ、素材をを叩いて造る打ち刃物と、素材を型抜きする抜き包丁です。

家庭包丁によくあるステンレス包丁は、殆どが基本的にプレス機で型抜きし磨き上げ造られたものです。また本職向けの牛刀やペティナイフなどの洋包丁も、材質の良し悪しは違えど造り方は大きく違いません。量産に適し、コストを抑えることができるので価格を低く抑えることも可能です。

本題の和包丁はと言うと、一本一本素材(金属)を赤くなるまで熱し、叩きながら成形し、磨き、仕上げると言った流れです。

また和包丁は大きく分けると『本焼』と『霞』があります。
本焼は硬い鋼を刃全体に使用した全鋼製となり、製品となった場合は刃が硬く切れ味や刃持ちに優れています。その反面製造が難しいというデメリットもあります。
もう一方の霞は、鋼と軟鉄を貼り合わせることにより、硬さと粘りのバランスがよく、生産性にも優れています。デメリットは、違う素材を貼り合わせるため、反りや歪みが生じることがあり、後々修正やメンテナンスが必要となることがあります。

製造が難しいとされる本焼包丁の中には、完成まで数週間ほどと長い時間を要するものもあります。また鍛冶職人が一本一本時間をかけ造り上げ、誰にでも造れるものではないため付加価値も付き高額なものが少なくありません。

このように見ますと打ち刃物と抜き刃物、包丁製造に関わる手間暇や技術量なども大きく違い、一方は工業製品、もう一方は伝統工芸品のような見方もできます。

どちらも刃付け次第ではよく切れるのには間違いありませんが、和包丁は刃の形状が違いその鋭角さ故の切れ味、また素材の強さからくる切れ味が長持ちする『刃持ちのよさ』は、一般的な家庭包丁や洋包丁にはマネのできない、和包丁の一番の魅力となっています。

本焼包丁の切っ先 … ひとつの鋼から造られるため刃は均一です
本焼 切っ先

霞包丁の切っ先 … 鋼と軟鉄を貼り合わせているため境目があります。
霞 切っ先

よく耳にする話ではありますが、日本の包丁は世界を見てもトップレベルの切れ味、品質といって過言ではありません。日本人のものづくりへのこだわりや細やかさによるところが、包丁の品質に大きく影響しているのは間違いあません。

海外を見てみますと、同じように工業製品大国ドイツのゾーリンゲンがキッチンナイフでは有名で、よく知られるところでは『ツヴィリング J.A. ヘンケルス』や『ドライザック』など、キッチン用品に詳しい方なら一度は聞いたことのあるメーカーだと思います。

日本ではサムライの時代から長らく刀を造る文化があり、刃物を造る技術が育ってきました。それはサムライの時代が終わるまで途絶えることがなく現代へと続いています。その技術は必然と今の包丁を造る技術へ継承されています。歴史の深さを感じます。

では当店でよく取り扱う包丁を中心に、国内の包丁メーカーをいくつか挙げさせていただきます。

正本
現在は正本総本店と築地正本があり、江戸時代から続く老舗刃物店です。
正本総本店

有次
400年以上の歴史のある京都の刃物店、現在は大正時代に独立した築地有次もあります。
有次

子の日
東京都築地に店舗を構え、包丁のクオリティは勿論、見た目の美しさにもこだわった包丁で根強いファンも少なくありません。
子の日2

康之
東京を中心に、日本料理店やホテルなどの料理人に親しまれている丸越産業の包丁です。
康之

堺孝行
刃物の一大産地、大阪府堺市にある青木刃物製作所の製品です。
堺孝行

ミソノ
包丁生産全国シェアの半数以上を占める岐阜県関市の包丁メーカーです。
ミソノ

こちらはほんの一例で、他にもたくさん魅力的な包丁メーカーが日本にはあります。
また機会を見て他の包丁も紹介させていただきます。
和食の調理は用途により様々な包丁を使いわけ、料理を作り上げていきます。

野菜には野菜用の包丁、魚には魚用の包丁というように、より材料に適した包丁を選択し使用します。

また魚用の包丁ひとつにしても、魚を捌くための包丁から刺身を切る包丁があり、その魚を捌くための包丁をとってみてもまた、魚の種類や形状により使い分けるといったような感じで多種多様となっています。

では代表的な三点の和包丁の用途や特徴などを挙げてみたいと思います。

1. 柳刃包丁
刺身を切る包丁で、柳の葉ににた形状で細長い形状となっています。
その長さを利用し魚の身を引くように切りることで、魚の切り口が滑らかになり、口当たりが良い刺身ができます。関西では正夫(しょうぶ)と呼ばれています。
柳刃包丁

2. 出刃包丁
魚を捌くための包丁で、分厚く重い刃が特徴です。中型・大型の魚の固い中骨なども切り落とすことができます。小さなものは小出刃やアジ切りとも呼ばれ、鯵などの小魚を捌くのに最適な造りとなっています。
出刃包丁

3. 薄刃包丁
野菜や果物を切る包丁で、薄くまっすぐな刃が特徴です。板前さんの包丁の技でよく知られている大根の桂剥きですが、きれいに仕上げるにはこの包丁が必要です。
薄刃包丁

その他特殊包丁などたくさんありますが、また次の機会とさせていただきます。