和包丁のヒミツ -刃の形状と切れ味-

『和包丁は良く切れる』とよく聞きますが、その他の包丁と比べ何が違うのでしょうか。

以前に触れたことのある刃の構造についての補足的なことにもなりますが、刃の材質や造り方の他にもうひとつ、刃に隠された切れ味に関するヒミツがあります。

その刃に隠された秘密というのは、刃の形状です。
刃の形状と言ってもパッと見た刃の外観そのものではなく、刃を断面にすると分かる断面形状のことです。

鍛造の和包丁は、切り刃が片面だけにある片刃の包丁となり、対する洋包丁の切り刃が両面にある両刃の包丁が一般的となります。

片刃の包丁は両刃の包丁に比べ刃が鋭く見えませんか？
これは裏スキと呼ばれる、平の裏面にある緩やかな凹みが生み出すより刃を鋭くする仕組みです。またこれは、使用する過程で刃が減っても、ある程度までは裏スキが残るため、研ぎさえしっかりされているとしばらくは切れ味も変わらず使い続けられることができます。

和包丁の鋼材や製造方法が切れ味に大きく関わっていますが、この刃の形状があまり知られていない和包丁の切れ味のヒミツとなっています。

これモンハンの武器ですよね?? -ヘンテコな形の特殊包丁-

和食の調理は、食材により様々な包丁を使い分けているのをご存知でしょうか？

様々なものに『専門』というものがありますが、包丁にも野菜や魚、また魚の中にも魚の種類ごとに使い分けるといったように食材専用の包丁があります。
その中には包丁とは思えないいびつな形をしたものや、笑っちゃうくらい大きいものなど珍しいものがいくつかあります。代表的な『一風かわった』和包丁をいくつかご紹介いたします。

鰻裂き包丁
夏の定番のご馳走といったらウナギですね。そのウナギを捌くための和包丁です。
ウナギを捌く包丁は地域により様々で、こちらでお見せするものは関東型、江戸裂きとも呼ばれているものです。鋭利な切っ先と直線的な角ばった刀身、短い柄が特徴の和包丁です。
ゲームに出てくる武器のようでかっこいい形をしています。

鱧切り包丁
こちらも夏の魚、ハモを調理するための和包丁です。
ハモという魚は、身に細かい骨がびっしり入り込んでいて、アジやサバのように引っこ抜き安易に取り除くことができない非常に厄介な魚です。骨が抜けないなら細かく切って骨ごと食べてしまおうという考えから生まれた包丁です。
一般的な包丁の概念を覆す、持っているだけでも筋トレになりそうな刃が厚く大きく重い包丁です。

鮪切り包丁
マグロの解体ショーなどでおなじみのマグロを捌くための包丁です。
刃の長さが60cm程あり、柄も含めると1メートルくらいの長い包丁です。
見た目は日本刀そっくりで、男の心をくすぐる魅惑の包丁です。

蕎麦切り包丁
麺切り包丁などとも呼ばれ、そばやうどんなどのヌードルを切る包丁です。
大きく厚みがある包丁で、まな板に押しつけるように切るため刃は反りがなく一直線です。
またはじめから柄が付いているものと、後で布や紐など好みのものを巻きるけるタイプがあり、こちらは後者の柄がついていないタイプです。
『いびつな金属の板』にしか見えませんが、これもちゃんとした包丁です。

和食・和包丁の奥深さを多少でも感じていただけましたでしょうか？
ただこれだが全てではありません。他にも珍しい包丁はいくつかあります。
興味のある方は、是非ググってみてください。

ご不要になった包丁ございませんか？

アールイー包丁買取のサービス内容についてです。

柳刃包丁や出刃包丁などの和包丁や、牛刀やペティナイフなどの洋包丁など、調理用の刃物でありましたら種類は問いません。主に板前さんが使う本職用の包丁をメインで取り扱っておりますが、一部の高級家庭用包丁もお買い取り可能です。

『買ったけど使わない』
『包丁屋さんとの付き合いで買ってしまった』
『先輩からお祝いとして頂いた』
『転職して不要になった』
など、理由は様々で使わない包丁をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

稀にお持ち込みいただくことのある、なんらかの記念で誂えた非常に高価な包丁、見た目も豪華な柳刃包丁や先丸蛸引包丁です。
本焼・水焼・特殊波紋入り・全面鏡面仕上げ・黒檀柄・花梨柄・象牙巻・銀巻・西陣織袋入り…など、非常に美しい美術品のような包丁をお持ち込みいただくことがございます。
きれいにまとめられた包丁は、道具ではなく記念品・コレクション品となってしまうことが殆どで、使われることなく買い取りに持ち込まれます。
お買い取り額は勿論、一般的な包丁のそれとは違うものとなります。

尚、お買い取りでは包丁の状態は特に問いません、長らく保管された未使用品やバリバリに使っていた愛用の包丁まで、調理が不可能なものや銃刀法的に触れるようなものを除けば、全てがお買い取りの対象となります。

お買い取り方法につきましては、店頭でのお買い取りはもちろんですが、宅配での全国買取もご対応しております。またお近くにお住まいの方に限りますが、スタッフが直接ご自宅にお伺いする訪問買取のサービスもございます。
その他、包丁・刃物販売店などの業者様からのご依頼にもご対応可能です。
一度に数百本～、一度に数十万円～、のような大口の案件もご対応可能です。

お買取りのご依頼やご不明点などございましたらお気軽にお問い合わせください。

なんでそんなに安いの!? -中古包丁の相場-

ここ数年で1000本以上の包丁のお買い取り・販売をさせていただきましたが、ご利用いただいたお客様の中古包丁の相場感は様々で、『そんなに安いの??』と思われる方が大半です。

それもそのはずで、先日の記事でも話しました通り、高級和包丁は一本で三十万～五十万なんてものも少なくありません。一般的な本職用和包丁でも数万円～十万円ほどと、決して安いものではありません。

本題の中古包丁の相場ですが、新品の販売額のおおよそ10～50%くらいと言えるのではないでしょうか。やや相場の幅が広いと思われるでしょうが、状態の良し悪しやメーカーの人気の有無、既製品かオーダー品か、などで価値は大きく変わります。あくまでも当店での取引実績からの見立てですので、全てのケースに当てはまるものでもございません。

では中古の本職用包丁はどこで買うことができるのでしょうか。
包丁・刃物店に行ってもアウトレット品はあっても中古品はありません。町のリサイクルショップでもまずお目に掛かることはないと思います。インターネットで探しても、新品包丁のネットショップが当たるくらいです。
実は『ネットオークション』が品揃えが豊富で、また魅力的な価格で売られています。

ネットオークションなので、個人間での取引となり、慣れていない方は不安で面倒と思われる方も多いのではないでしょうか。しかしながら、そこには非常に手ごろな価格でたくさんの包丁が出品されているのも事実です。
たとえば、老舗有名包丁店 本焼 柳刃包丁 330mmが20000円以下、有名メーカー モリブデン鋼 牛刀 240mmが5000円以下など、中古ではありますが新品の1/5程度で購入することができます。

包丁は道具ですので、長年使用すると刃が減り、最終的には使えなくなってしまいます。使えば使うほど価値が下がるということです。また研ぎ方など使い方で『癖』がつきやすく、他の方が使った包丁は使いたくないという職人さんも少なくありません。

様々な理由により中古包丁の相場は概ね低く、ネットオークションは包丁購入の魅力的な市場となっています。

青紙白紙銀紙って??折り紙ですか?? -和包丁の鋼材-

和包丁は基本的に安来鋼(やすきはがね)と呼ばれる鋼材で造られています。
これは日立金属が、良質な砂鉄が取れる島根県安来市で開発・精製したハガネから由来するもので、かつての『たたら製法』から造り出していた玉鋼を引き継ぎ、現代の高級特殊鋼となっています。

安来鋼は、不純物や炭素・クロム・タングステンなどの含有量により鋼の性質が変わります。
『とにかく硬いハガネがいい』、『硬さはほどほどに、でももろいハガネはダメ』、『サビないハガネがいい』など、道具の用途により適したハガネは違うため、適したものを選び製品化できるということです。

タイトルにある『青紙・白紙・銀紙』ですが、これは安来鋼の種類のことで、包丁屋に行くとよく目にする表記です。ハガネの性質や包丁の価格に大きく影響し、一長一短ということもありますので、一概にこれが最高ということもありません。

なぜ○紙と言うのかと言うと、鋼の種類は違えど見た目がいっしょ、いろいろ造っても区別がつきません。そこで区別するために、鋼を精製する際に青や白など紙を目印にしたことが由来のようです。

本職用の和包丁で基本となるのは白紙(白鋼)で、黄紙から不純物を取り除いたものが白紙二号となり、硬さと粘りのバランスがよい包丁に適した鋼材となります。

白紙二号に炭素量を増やしたものが白紙一号で、硬度があがり切れ味がよくなります。その反面、粘り・靱性(じんせい)が落ち刃こぼれしやすくなるため、柳刃包丁や薄刃包丁などに適し、硬い骨を切ることのある出刃包丁などには向かない鋼材となります。

青紙(青鋼)ですが、白紙二号にクローム・タングステンなどを加えたものが青紙二号となり、白紙二号に比べ耐摩耗性や粘りに優れ、高級和包丁によく用いられる鋼材となります。こちらも炭素量等を増やしたものが青紙一号となり、より硬度が上がり鋭い切れ味となります。
また刃が硬いため、研ぐスキルや適した砥石の選択など、メンテナンスの力量が無ければ本来の性能を引き出せない難しさも併せもっています。

銀紙(銀鋼)は、わかりやすく言うとサビに強いステンレス鋼で、和包丁によく使われるのは銀紙三号です。略して通称『ぎんさん』と呼ばれています。もちろんベースは安来鋼ですので、全く錆びないわけではありませんが、すぐ錆びてしまうハガネの包丁に比べると段違いの耐性と言って過言ではありません。

青紙(青鋼)


銀紙(銀三)


ざっと安来鋼、包丁の鋼材について説明いたしました。
どれを選ぶかは環境や好みにもより、どれが一番かは使用する本人次第です。