大山誠一郎さん著『アリバイ崩し承ります』(実業之日本社)を読みました。
祝!コミカライズ!
■『アリバイ崩し承ります』あらすじ
■『アリバイ崩し承ります』はこんな人におすすめ!
■『アリバイ崩し承ります』レビュー(ネタバレなし)
■『アリバイ崩し承ります』を気に入った人へ!おすすめの作品5選
『アリバイ崩し承ります』あらすじ
捜査一課に配属されたばかりの新人刑事が、ふと立ち寄った時計屋さん。
店内には「アリバイ崩し承ります」との張り紙が。
公務員法にひっかかる・・・と思いながらも、アリバイが関係する事件の相談をする「僕」。
時計屋の女性店主が、安楽椅子探偵としてアリバイ崩しもアリバイ探しもサラリと解決!
思わず涙しそうなお話や心がほっこりする女性店主の昔話など、
「時計屋探偵」のアリバイトリック譚が7本も収録されています。
『アリバイ崩し承ります』はこんな人におすすめ!
『アリバイ崩し承ります』をおすすめしたい人は……
- 短めの短編集が好きな人
- アリバイトリックが好きな人
- 安楽椅子探偵ものが好きな人
- いろんなタイプの短編ミステリが読みたい人
- 読書しながら推理するのが好きな人
以上のどれかに当てはまる方には、『アリバイ崩し承ります』、気に入っていただけると思います!
『アリバイ崩し承ります』レビュー(ネタバレなし)
ここからは『アリバイ崩し承ります』について、1話ずつ、あらすじとともにネタバレなしで感想綴らせていただきます。
第1話 時計屋探偵とストーカーのアリバイ
刑事の主人公・「僕」と、アリバイ崩しも承ってくれる時計店の女性店主・美谷時乃ーーの初対面シーンがみずみずしい序盤。
時乃さんの「時計屋探偵」が果たしてどんなふうに展開するのか期待に胸が弾みます。
医学部の女性教授が被害者のお話。
容疑者は被害者の元夫。
容疑者は大学までやってきてストーカーやお金の無心のような行為をしていて明らかにあやしいのですが・・・
容疑者のアリバイが崩れません。
アリバイの基本を押さえてくれている感じで、第1話としては最高です。
「アリバイって何?」というかたにも超親切設計となっています。
物語のあちこちにヒントが散りばめられています。
読みながら一緒に推理できて楽しいです。
第2話 時計屋探偵と凶器のアリバイ
犯人よりも、被害者よりも先に凶器が見つかる、という不思議なお話。
しかも、郵便ポストから拳銃が発見される!・・・という衝撃的な内容。
物語のボリュームにしては登場人物が多いので、しっかり読み込まないと人間関係の把握が少々難しいかもしれません。
映像化には向いていそう。
トリックには脱帽。
これ、読んでてわかった人はすごいな!と思います。
第3話 時計屋探偵と死者のアリバイ
「僕」の目の前で事故に遭った推理作家が、「殺人を犯した」と言い残す・・・ミステリマニアとしては非常にワクワクするスタートです。
アリバイにも、推理作家に関するいくつかの不思議な出来事にも、驚かされました。
読み返すと、うわぁホントだ、と思うところばかり。
本格ミステリ度が高いお話です。
第4話 時計屋探偵と失われたアリバイ
これまでのお話はすべて「アリバイ崩し」でした。
第4話は、「アリバイ探し」をする物語。
初のアリバイ探しは、主人公の刑事「僕」が最有力容疑者のアリバイを探してあげようとします。
しかも、勤務時間外に戒告処分覚悟で。
「僕」は「時計屋探偵」に惹かれているのかと思ったのでちょっと意外でしたが、ミステリとしては面白かったです!
第5話 時計屋探偵とお祖父さんのアリバイ
時計屋探偵がまだ小学生の頃のお話。
時計屋探偵がお祖父さんから「アリバイ崩し」のイロハを教わる物語です。
個人的にはこの第5話が一番好きです。
お祖父さんが孫の修行のためにアリバイトリックを練ります。
アリバイ作りに奔走したお祖父さんに移入すると、なんだか心がほっこりします。
安楽椅子探偵っぽさが薄く、リアルタイムで、一緒に推理できます。
第6話 時計屋探偵と山荘のアリバイ
本格ミステリ好き集まれ!第7話 時計屋探偵とダウンロードのアリバイ
「今回のアリバイは、脆弱といえば脆弱なものなんです。だけど、崩そうとしてもどうしても崩せなくて……」(p.216)
と、主人公が言う通り、この第7話が一番繊細なお話になっています。
繊細というのは、アリバイに関してです。
なので、これまでの6つのお話と比べると地味な印象を受けます。
しかし、わかりやすいアリバイは崩しやすく、わかりにくいアリバイこそ崩しづらい。
そして、アリバイというのは脆弱で繊細なもの、という作者の声が聞こえてきそうな気がします。
そんなミステリ魂を感じた最終話でした。
祝!コミカライズ!
祝・実写化!浜辺美波さん主演!
アマゾン・プライムビデオで観られます!
>>『アリバイ崩し承ります』の著者・大山誠一郎さんの作品をAmazonで探す
『アリバイ崩し承ります』を気に入った人へ!おすすめの作品5選
「『アリバイ崩し承ります』、面白かった!」
「もっとこういう作品を読みたい!」
……という方へ、おすすめの作品をご紹介します。
おすすめ作品その1
大山誠一郎『赤い博物館』
『アリバイ崩し承ります』の作者・大山誠一郎さんの作品の中でおすすめの一作。
松下由樹さん主演でドラマ化もされました。
警視庁付属犯罪資料館に所属するふたりの警察官が、「迷宮入り・絶対阻止!」をスローガンに難事件に挑みます。
読みごたえある本格警察小説。
おすすめ作品その2
『ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~』
『アリバイ崩し承ります』の「時計屋探偵」こと美谷時乃さんの印象に、一番近いなーと思ったのがこの『ビブリア古書堂』の栞子さん。
個人的には、です。あしからず。
叙情的で、みずみずしさがある作品です。
ミステリとしても一級品。
漫画版もすごいよかったです!
黒木華さん主演で映画にもなってます!
おすすめ作品その3
松岡 圭祐『万能鑑定士Qの事件簿』
ライトミステリのパイオニア的名作、『万能鑑定士Q』。
キャラクターとミステリの融合が気持ち良いです。
「人が死なないミステリ」なので、年若い読者さんにも親切設計!
漫画版もおすすめです!
莉子がかわいい!!
おすすめ作品その4
西尾維新『掟上今日子の備忘録』
ライトミステリならこれは推しておきたい!
ミステリファンなら誰もがその名を知る西尾維新さん著『掟上今日子』シリーズです。
眠るとすべてを忘れてしまう「忘却探偵」・掟上今日子。
「眠ると忘れる」・・・この設定だけで読みたくなってしまいますね。しかも、この設定が活かされまくります。
一気に読めますし、読み終えるとシリーズ全作読みたくなります。
漫画版も超おすすめ!
読みやすい!某シーンの視覚効果バツグン!
おすすめ作品その5
似鳥 鶏『叙述トリック短編集』
『アリバイ崩し承ります』で推理の楽しさにハマったかたにオススメな作品です。
叙述トリックがたっぷり楽しめます。
作者の仕掛けたミスリードに騙されず見抜けるか?!
真剣に読んでしまう短編集です。
ご覧いただきありがとうございました。
またね( ´ ▽ ` )ノ
オーディオブックも聴き放題。
本ページの情報は2020年2月時点のものです。