パーク・ライフ。 | ベロニカは死ぬことにした。

パーク・ライフ。

こんにちは。
シェフでございます。

今日は久しぶりに本の紹介をしたいと思います。

パーク・ライフ(吉田修一)
$Re:Acoustic的超高回転前頭葉(仮)

吉田修一の作品はアンソロジーで短編を何度か読んだことがあるのですが、単体で書籍化されている本を読むのは今回が初めてでした。

パーク・ライフしか読んでいないので他の作品と比べての評価とかはできないのですが、読んだ感想としては「この人すごいかも」でした。

東京に住む若者の描写が現実よりもリアルな感じがします。
登場人物の会話が実に上手くリアルなのです。


スターバックスのカフェモカをいつも公園で飲んでる女性が店内で飲まない理由をこう説明します、

「あの店にいると私がどんどん集まってくるような気がするの」


その後主人公がスタバに行った際に感じた感想をその女性に話します。

『みんな高そうな服をセンスよく着こなし、テーブルに置いてある小物一つとっても洗練されている。しかし彼女たちは「私を見ないで」という雰囲気を出していた』


それに対する女性の返答が、

「何も隠すことがないことを隠しているだけよ」

と、セリフがとことんリアルなんですねこの作品。
なので実に読みやすいです。


内容は、地下鉄の車内で間違って話かけた女性と『ぼく』の日比谷公園を舞台にした話。
公園で気球を飛ばすために試行錯誤をする常連のおじさんは何故気球を飛ばしたいのか。
ずっと片思いをしていた女性『ひかる』。
たまに上京してきて『ぼく』の部屋に居座る母。

色んな人間関係の距離感が絶妙な話です。


文庫のパーク・ライフには話が二つ収録されていましたが、パーク・ライフ自体は100Pほどしかないのでさくっと読み終えられると思います。

是非機会があればお試し下さい。

シェフ

本日の読書
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