さて、それに対して昨今巷で猛威を振るっているコード・ネーム COVID-19 こと新型コロナ・ウィルスによる肺炎感染症の感染拡大に関する問題ですが、日本ではまだ、どうもちぐはぐな印象をぬぐいきれないというのが正直なところではあります。

 感染症のパンデミックと言いながら、多くの日本人はそれほどの危機感も恐怖も感じる事なく不便ながらも日常を送っていて、それはあたかも感染症の問題よりは経済にかかわる問題であるかの如くでもあって、 100 年ぶりの大恐慌のかすかな予感を覚えさせるものでしかないように思われたりもします。

 これはまさに、アベノミクス不況からコロナ恐慌へというもので、もしも今現在パンデミックしている病が、例えばペスト天然痘、あるいはエボラ出血熱などというものであったならば、多くの日本人の意識もまったく変わったものになっていた事は確からしくも思われます。

 しかしながら、そんな中においても徐々に、そして確実に、それは病としての凶暴性、もしくはいやらしさのようなものを私たちに認識させつつもあるような状況ではあるようであります。

 こんな時にいつもの如くなチベッタンなマニアに向けた与太話は、別なところで詳細に触れている為、ここでは特に触れないでおいたのですが、やはりここでも少しはそんな話題を取り上げておく事にしました。

 一般に、チベット密教の伝統ににおいては伝染病のパンデミックの鎮寂に対してパルナシャヴァリーという女尊が大きな力を発揮するものと考えていて、チベット人政府の宗教・文化省が発出した文書におけるリストにもこの尊の真言念誦は新コロ対策の一つとして掲載されていたところではあります。

 パルナシャヴァリーというのは、木の葉をドレスとしてその身にまとったシャヴァリ族の女神という事で、日本では葉衣観音として知られておられる方になります。

 この尊のご真言については Master You Tube の指導のもと、下記の動画をはじめとして様々なものが公開されている事が確認されます。

 上の動画はだいぶ以前の公開なので今回の新コロ騒動とは関係ないかもしれませんが、次の動画はおそらくは今回の新コロ騒動に併せて公開されたもののように思われます

 どちらもパルナシャヴァリーの真言なのですが、細部に微妙な違いがあります。これは師伝の関係や、テルマに基づいていたりする場合など、様々な事情があるためですが、本質的な違いではありませんのでそれほど気にする必要はないでしょう。

 また、上の二つはどちらも真言のみのものですが、もう少しマニアックに祈願文とセットにして真言をお唱えしているものも You Tube になら公開されています。

 この祈願文は、公開されている動画の奥付によるとディクン・カギュー派の開祖として知られているディクン・ギョプパ・ヂクテン・スングン師のお書きになられたもののようであります。

 ところで、我が邦においては、このようなパンデミカルな状況下において、その鎮寂を願意とした上で葉衣観音を本尊として真言を念誦するという話題はあまり耳にしませんがその代わりに、チベットではヤマーンタカとして知られている大威徳明王をご本尊とした法の効能として 《 疱瘡消除 》 が挙げられている事が知られています。

 上の画像は当坊に伝わる、 100 年後には国宝指定間違いなし、と闇世界の裏では噂されている、と聞く事がない事もないと言われているらしい、大威徳明王さまのご尊象になります。普段は秘仏としているのですが、今回は特別に公開してしまいましょう ( w ) 。

 日本密教に伝わる大威徳明王さまは、まだリリン的な要素を残して水牛に乗られているのですが、これがチベット密教の伝統になると、シンクロ率が危険領域を突破してリリン的要素を完全に喪失し、ご本尊さまそのものが水牛の顔をした姿で顕現される事になります。

 いずれにせよ、この不可解な状況が、可及的速やかに殲滅されん事を願いたいものであります。